アイマスクエストの真価とは アイマスクエストⅣ 110話 「第二の地獄の帝王」 感想

アイマスクエストⅣ 110話 第八章14「第二の地獄の帝王」

(以下ネタバレ注意!)

凄い、凄すぎる。
何が凄いのかって、いやそりゃ挙げだしたらキリが無いんだけど、とりあえず8章の構成が神がかっていると思う。
以前、8章はだいたい全27話程を予定しているいう情報を目にしたことがあります。
もちろんその予定が変わる可能性も低くはないわけだが、まあこの回が真ん中辺りに位置するのは確実でしょう。
そしてそこに、こんなエピソードを持ってきたんだからもう感心するしかないw

前回までの13話は間違いなく閣下が中心に展開されていました。
彼女が強力な魔物を召喚し、ピサロ軍・及びピサロ自身をも圧倒し、そして封印されてその過去が語られる。
閣下の圧倒的なカリスマ性と、背負い続けてきたものの重さを描いて前半戦は終了しました。

そして、おそらく今回から突入したと思われる後半戦。

ここから始まるのは、異世界の悲しい運命を捻じ曲げようとするアイドルたちの物語。
物語のクライマックスに突入したと同時に、ある意味今回が「アイマスエスト」の真のスタートともいえるように思えます。


千早の発想に一同が驚いたのは、まあ予言で全てが回っている世界の住人たちなら仕方のないことなんでしょうが、一視聴者としては、「何を今更www」って感じでしたw
そうなんです、アイマスエストの真価とはきっと、「アイドルたちがドラクエ世界をめちゃくちゃにすること」なんですよね。
ドラクエ世界の独自解釈やオリジナル設定が魅力的なシリーズですが、
そこにアイドルたちの手が加わるからこそ、この物語は〝アイマス"クエストなのです。
僕は3章でやよいがエンドールを塗り替えてしまったあの時から、ずっとそう感じていました。
それがついに物語の中で銘打たれ、アイドルたちが自分の影響力を自覚した。
閣下ですら抗えなかった絶対の運命を変える力が、自分たちに備わっているかもしれないと。
ここでアイマス主題歌が流れる演出が最高に憎いですw
そう、きっと今日これから彼女たちの伝説が始まるんですよね。


そして110話目にして語られる、アイドルたちがこの世界に来る原因を作った本当の黒幕w
最初から意図していたのか、それとも後付けかは分かりませんが、
どちらにせよ、こういう背景があると燃えてきますねー。

Pと亜美真美が、残りのアイドルたちが、遅れて社長と小鳥さんがやってくる。
そこにでかでかと表示された8章の、そしてドラクエⅣのサブタイトル「導かれしもの」。
ゲーム的には各章の主人公である8人のパーティメンバーのことを表す言葉ですが、
ここではきっと、世界の運命を変えるためにルビスの手で導かれた14人の異世界人のことを言うのでしょう。
後半戦開始のこのタイミングでアイドルたちが選ばれた存在、特別な存在であると明言されたわけですよ!
何というか、もう絶妙すぎます。
これで今後の展開を前にして、胸が昂ぶらないわけがありませんよ!
閣下の悲しい運命に打ちひしがれた後に、それを我らがアイドルたちがどうぶち壊してくれるのかという希望が湧いてくるわけですから。
宿屋をもっと壊せば……なんて言ってる2章組の姿も、今は頼もしいったらありゃしない!

というふうに明るい未来に心躍らせていたわけですが、しかしこの物語はそんなに甘くなかった。
早速あるアイドルが運命を変えるべく行動を始めてしまいましたね……自らを犠牲する覚悟で。
彼女が107話でエビに協力したのはあくまでピサロ軍が閣下の軍勢に対抗するためであり、
閣下が消え、そして溜めこんだ闇も吸い取ってもらった今ならもしかして……と楽観視していたのですが(^_^;)

「第二の地獄の帝王」というタイトル。
闇が濃さを増し始める世界。
エビが説く「地獄の帝王」の必要性、及びピサロ以外を人柱とするアイデア
そして、目覚めた彼女。

嫌な予感はどんどん膨らんでいきました。

そしてあの爆発音、伊織と雪歩が見た光景、千早の衝撃的な発言……
予感は徐々に確信へと変わっていき、興奮と緊張は最高潮へと近づいていく。

んで、これだ。
最高の演出、そして流れる「マリオネットの心」(微妙にアレンジ加えてるかな?)。
美希の強く悲しい決意と、「ねぇ消えてしまっても 探してくれますか」という歌い出しが重なった瞬間、僕の中で何かが弾けました。

そしてサビに入るとともに突入する戦闘シーンの熱さが尋常じゃない。
ここだけ既に何十回もリピートしています。

美希を止めようとするのは伊織と雪歩、コンビネーションはマスクエ界随一である。


始めて公開される、最高にカッコいいマヒャドのカットイン。
今まではギャグっぽく扱われていたのは、このときのためにとっておいたのかもしれない。


それを美希はメラゾーマで迎え撃ち、相殺する。
5章や7章前半で美希が伊織をライバル視している光景を描いてきたからこそ、この流れを前に興奮を抑えきれませんでした。
理知的で成熟した氷の魔法使い・伊織。
情熱的で未熟だが若き天才である炎の魔法使い・美希。
こういう対比関係がめちゃくちゃ熱いのは世の常でしょうw


続いて美希に向かっていくのは雪歩。顔グラが相変わらず素晴らしい。
闇に身を委ねることの苦しみを知っているからこそ、とてつもなく真剣です。
雪歩は普段力をセーブしているそうですが、個人的にはここで少しそのリミッターを外していたのではないかと思ってます。

しかし物理攻撃を美希に届かせるのは至難の業である。
回避の瞬間に入る「スッパーン!」のSEに痺れました。

そして美希の反撃は、マーニャ最後の呪文イオナズン。しかも闇を集めて強化したバージョン。
レベル的にそろそろ来るだろうなーと思っていましたが、いやはやこれは……
最高のタイミングで初披露となりましたね。

ラストはドラゴラムを使って天空城から離脱する美希。
強烈な演出のオンパレードで圧倒されているうちに閉幕となりました。何という恐ろしい引き……

筋書きも演出も完璧なシーンでしたが、それと同じくらいにBGMの力が大きかったように思えます。
ここは「relations」でも「深紅」でもなく、絶対に「マリオネットの心」で無くてはならなかった。
流れ出した瞬間に「ここでこの曲を持ってくるか―」と感じ、
ラストでは「うん、ここはこの曲以外あり得ないな」とひたすら肯定していました。

ておくれP曰く、アイマスエストは「曲が織り成す物語」です。
それはつまり、曲数が増えるごとに物語の幅が広がる可能性を秘めているということ。
今回にしたって、さすがに全体的なストーリーまでは変えてないでしょが、
あの一連のシーンに関しては、「マリオネットの心」を使う前提で組まれていたのではないでしょうか。

ところでこの「マリオネットの心」、発表されたのはわずか2ヶ月ほど前です。
つまりマスクエが長期休載などなくずっと今のペースで連載が続いていたら、それより前にこのシーンを通り過ぎていたことになります。
そうしたらきっとリレや深紅辺りが使われていたと思いますが、それではあれほどの完成度にはならなかったかもしれません。
だから、連載が長引いたおかげでこの曲を使えたのは、ある種ラッキーだったと言えるのではないでしょうか。
そしてそれは、休載の間も続きを待ち続けた僕たちへの“ご褒美”であるようにも思えます。
……いやマスクエの連載スピードがどれだけ驚異的なのかは分かっていますし、
こんな書き方は「視聴者様」目線丸出しだという自覚もあるんですが、
それでも今回のあのシーンが見れたことがあまりにも嬉しすぎて、こういうことを書かずにはいられませんでしたm(_ _)m


話を本編に戻そうw
美希が地獄の帝王となることを望んだのは当然Pのためなのでしょうが、その判断はPにとって二つの利点をもたらします。
一つは闇を吸収する地獄の帝王が生まれることで魔物が沈静化し、彼の目的である人と魔物の共存に一歩前進すること。
もう一つは他人が「第二の地獄の帝王」になることで、その第一候補であったピサロが運命を回避できること。
エビが両方か、もしくはどちらか片方だけを美希に吹き込んだのかが気になるところなんだけど、う〜ん……
「“誰かひとりが”地獄の帝王になれば〜」と言っていたから、やっぱり後者が大きいのかな?
どっちも美希にとっては十分動機足り得そうだけど、特に後者の重いだろうし。
Pが理性なき怪物になるくらいなら、躊躇いなく自分を身代りにするでしょう今の美希なら。
しかしアイドルたちの目的が「第二の地獄の帝王の誕生」という予言そのものを変える方向で固まった矢先に、
美希が「自らが第二の地獄の帝王となることで、その第一候補であるPを助ける」目的で行動を起こしたのなら、なんとも虚しい話だなぁ……
そういえばかつてルビスが、美希のことを「予言に反発する存在」だと称していましたね。
今は自らの影響力を自覚した他のアイドルたちも予言を変えようと決意していますが、
美希は何というか、根っこの部分でこの世界への接し方が他の皆とは違うのではないかなー……なんて。

そして今後の展開で一番気になるのは、やはり「美希は本当に地獄の帝王になるのか」ということです。
キーアイテムである黄金の腕輪は今、片方を美希が、もう片方をピサロが所持しています。
腕輪が二つ揃えば闇を支配できる存在となるわけど、(これはこれで、閣下の代わりに大魔王になる可能性があったりするのかな?)
予言にある「地獄の帝王」とはおそらく、腕輪一つで生まれる理性なき化物の方ではないかと思います。
それなら、美希はピサロの持つ腕輪を奪取する必要などないわけです。
後は、どうやって地獄の帝王になるのかが問題かな?
前の帝王は神々がなんらかの手段で、進化の秘法を暴走させた結果の産物であったと記憶しています。
その状態を、果たして美希はどのように引き出すのか。
もしそれに時間がかかるようなら、アイドルやピサロが阻止するチャンスはまだありますよね!
……何かこう、どうしても希望にすがりたくなるよなぁ。

その他気になったことを箇条書きで

・前回の感想でいろいろ疑問を書いたけど、結局マスドラは閣下の過去を知っていたのかな?
でも、閣下を「エスターク帝王」と呼ぶのが気になるんだよなー。
ルビスと違ってロト時代から見てきたわけじゃないから、エスタークの頃の印象が強いだけかもしれないけどw
そしてそれを知っていたとしてもなお、マスドラにとっては「世界」が最優先されるもの。
ある意味この世界の摂理を体現していると言えなくもない彼が、
それをぶち壊すアイドルたちにふれる中でどう変わっていくかなんてのも、今後の楽しみになりそうです。

・「世界」と「一人の命」の選択は最初、世界のために閣下を消せるか否かという趣旨のものだと思っていました。
でも今後の展開を思うと、「世界=閣下」と「一人の命=美希」の選択とも読み取れそうです。
閣下は消さないと世界がヤバいですが、美希(地獄の帝王)は現時点だとそこまでの驚異にはなりそうにないし。
そしてそれを決断するのは春香なのか―……これは厳しいなんてもんじゃないな。
まあ、まだ美希が地獄の帝王になると決まったわけではないんだけど。

・↑の問いを亜美がルーシアに投げかけていたのも気になる。
ギャグ演出+この問をより印象付けるためのもの程度の目的なのかもしれないけど、マスクエだと何かこういうのもフラグに見えてくるw

・結局美希とあずささんはまたすれ違いかー、再開シーン引っ張るなぁ。
修羅の道を進む美希に、どこかであずささんが関わってくるのだろうとは思いますが。
今となっては、ルビスがあずさに向けた「美希がどんな道を選ぼうとも、あなただけはあの子を許してあげて」という言葉がズシリとくる。
そしてそれは、今後の展開次第ではより重みを増すんだろうなぁ……

・美希に関わる人物といえば、久々に登場した師匠のロレンスからも目が離せませんね。
「進化の秘法を抑える研究」とか、何気にかなり重要そうなことをしてるみたいですし。
しかしこのロレンスって、本当に不思議なキャラだよなぁ。
かつては同格だったスコットは強化され、しかし完全なサポート役となりました。
他のバコタやパノンなんかのNPCも、基本的な役回りは勇者パーティのサポート。
一方ロレンスはステータスは断トツで低いものの、NPCで唯一今でもシナリオ的に重要な役割を担っているんですよね。
実は何か、大きな謎を秘めているキャラなのではないかと密かに疑っていたり……w