姉の想い、妹の選択 アイマスクエストⅣ 111話 「もとにもどす」 感想

アイマスクエストⅣ 111話 第八章15「もとにもどす」

今年最後のマスクエ。

(以下ネタバレ注意!)

「せっかくアイドルたちが予言をぶち壊せることが判明したのに、その直後に美希が身代りになる道を選ぶとかタイミング悪いなー」
と勘違いしていたんですが、結局予言そのものを無くすことは不可能だったんですね。
その結果に至る過程が変えられるのであり、自己を犠牲にすることでそれに挑んでいるのが美希だったと。
前回美希を叩くコメントをしていた人をいくらか見かけたけど、これで思い直してくれるといいなぁ。


マスドラが発言してフルぼっこにされてましたが、
(ルーシアの躊躇う→一瞬参加→しれっと元の位置に戻るっていう一連の動きでワロタw 相変わらず芸が細かい)
美希一人が犠牲になることで世界が安定を取り戻すかもしれないというところまで来ているんですよね。
魔族のリーダーピサロが帝王になることを回避して、勇者たちとの全面対決を阻止。
さらに彼が推し進めている進化の秘法による魔物の鎮静化が実現すれば、人と魔物の共存が実現するやもしれない。
原作の黒幕であるエビルプリーストが何か仕掛ける可能性はありますが、
それでも現段階から見えてくる未来は、ドラクエ4の本来の結末よりもよりよい世界の姿です。

そしてその原動力となっている美希は、勇者でもなければ予言に絡む存在でもない。
そんな美希が何故運命を変えられてるのか……「想いの強さ故」だとマスドラは語りました。
いやもうどれだけこの娘は強くて、そして破滅的なんだろうかと胸が痛みます。
社長が語っていた通り、もし美希が自我の無い地獄の帝王になってしまったら、
残りのアイマスメンバーは死ぬことによってしか元の世界に還ることができません。
みんなが元の世界に還れば、そこには一人だけいつまでたっても眠り続ける美希がいる。
そして何といっても、死亡帰還だと記憶が失われてしまうため、みんなには何故美希が目覚めないのか分からない。
この事実に今更気づかされ、呆然としました。
美希はPや他の皆のために犠牲になる道を選んだのに、救われた当の本人たちがそのことを覚えていないんですよ!さらに美希自身は現世では永遠に意識が戻らず、ドラクエ世界では理性を失った不死身の怪物になるんですよ!
もうあまりに辛くて、切なくて、報われなくて……

一方そんな美希に対して動きをみせたのは、当然のごとくあずささん。
美希の目論見が通れば、この2人が一緒に暮らし、支え合ってきた長い年月も失われてしまうんだよなぁ。
ルビスが言うには、「静寂の玉」があれば美希を止められるとのこと。
マスクエ世界では「形状がおしゃぶり」というギャグアイテム的な位置づけなので、ここでの登場は予想外すぎました。
実際のところ、なんで静寂の玉が美希を止めることができ、社長たちにも必要なんでしょうか?
美希やピサロの闇を抑える効果でもあるのか、
それとも単に原作と同じ魔封じのアイテムでしかないけど、
これがあれば美希の戦力を封じられ、変わりに魔法への対抗手段がなくなる社長が危ないってことなのか。
たぶん後者だと思うんだけど、そもそも雪歩がマホトーン使えるんですよね……
静寂の玉の方が効きやすかったりするんでしょうか。

しかしその静寂の玉を使うことを、あずささんは拒んじゃいました。

BGMの「花」で胸が締め付けられていたところに、この無音演出はゾクッとしました。
このあずささんの選択が持つ意味はとてつもなく大きいと思います。
静寂の玉を持ち出して美希を止めれば、結局世界の運命は元通り……ピサロが帝王になる道で、さらにロザリーが死ぬ可能性もあります。
それはつまり、一度ロザリーヒルを救って運命を少しだけ変えた美希の戦いを無意味なものにするということ。
今回のタイトルにある通り、「もとにもどす」だけの結果になってしまいます
その道を選ばなかったということは、きっと運命を変える可能性の芽を摘まなかったということではないでしょうか。
これでもし美希を救い出すことが出来たなら、ハッピーエンドへの道が見え始めるかもしれません。
それくらい、今回のあずささんの決断は僕にとって重要であり、一筋の光明を感じさせるものでした。
それにあれだ、シリアスシーンでおしゃぶりを使わずにすんだって意味でも重要なはずだw
ただなぁ、あずささんの死亡フラグ立ちまくりなのが怖いんだよなぁ。逆に美希の方が帰還する可能性もあるけど……


美希あずさ関連以外だと、今回見逃せないのがこの台詞。
マスドラにも言われていましたが、これまでアイマスキャラたちが一つにまとまったことって一度もないんですよね。
魔族サイドのPたちは仕方ないとしても、勇者一行ですらいつもバラバラ。
それは各々が各章でそれぞれの物語を歩んできて、目的も、考え方も、世界に対する思いも別だから。
7章後半で、閣下と律子を中心にパーティが二分割したときなんかが明確にそれを表していますね。
そういうそれぞれに物語があり、思惑があることがマスクエの面白さの一つですが、
最後の最後にみんながまとまれば、それが世界の運命を変える鍵になるのではないでしょううか。
アイドルたちは今回、一致団結できなかったことを痛感していました。
もし美希を救うことが出来たならば、ついにみんなが一つになるときがくるのかもしれません。


やや余談気味ですが、今回ピサロタウンを見てこう漏らしたロレンスの姿を見て、本当にこいつはいいキャラだなぁとしみじみ感じました。
NPCの魅力に定評のあるマスクエですが、中でもロレンスは一番のお気に入りですね。
美希とも関わりの強い人物だし、この先活躍があるといいなぁ。
ピサロタウンの平和で微笑ましい姿は、シリアス一辺倒に傾かないマスクエの姿勢の表れのように見えてきます。
このまま平穏が保たれるといいなぁと心の底から思いますが、さてどうなることやら。