その名に込められしは悲しき宿命 アイマスクエストⅣ エスターク物語 前半 感想


20選のエントリーも書かなきゃいけないんですが、先にこっちをやっておかないと進めそうにないのでw
※以下ネタバレ含みます!

閣下のエスターク時代の話はいつか見せてほしいなーと思っていたんですが、
いやー、まさか単体、それも前後分割しての長時間でガッツリ描いてくれるとは。
ここまでオリジナル要素が強くなると苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、
このシリーズの設定の広さや緻密さなどにも惚れ込んでいる一ファンとしては嬉しい限りです。

閣下の過去については以前109話の感想で一度大雑把にまとめたのですが、
そのときエスターク関連について抱いていた疑問が解消されたのが今回最大の収穫でした。
閣下が男賢者(エスト・アーク)に憑依したのは魔界で無双していたころだったとか、この2人がどういう関係だったかとか。
後、何気にそのときに書いた「閣下の剣術はローレシアの王子関連で磨かれたもの?」っていう何気ない思いつきが当たっていて思わずニヤリとしましたw


本筋がめっちゃ重い話なだけに、こうして2人の馴れ初め(?)の部分をコメディタッチで楽しく読ませてくれたのはありがたい。
16歳…+xx歳なのにワインよりケーキなかっかちゃん可愛い。
つーか既にこのころからドS気質だったんですねw
勇者ロトの頃からすでにそうだったのか、それとも長い憑依生活の中で目覚めていったのか……。


86話で別の名称の存在が仄めかされていた破邪の剣は、Ⅱの最強武器・稲妻の剣だったと発覚。
Ⅵの「雷鳴の剣」だと予想しているコメントを見かけた記憶がありますが、
今のところⅥは全く絡んでいないので稲妻の剣の方が自然ですね。
ローレシア由来の剣技を振るう閣下の武器としてもこっちの方がいい感じだし。


というかこのシーン、改めて見ると伏線の貼り方が実に絶妙ですね。
「黄金の腕輪=黄金の爪」「破邪の剣=稲妻の剣」の伏線を同時に貼り、
また、「ほしうふるうで…」「…わ(黄金の爪)」とすることで、「星降る腕輪=黄金の爪」といった具合にミスリードの誘発もしている。
おまけにこの直後に混血の人間は淘汰されるという話をあっさりと提示して、
114話の「天空の勇者が世界に消される」という重大な話に繋げてきてもいるんですよね。
いやもうホント、どこに重要なフラグが撒かれているか分かったもんじゃないなぁw


今回の大きな見所の一つとして、閣下と賢者アークの関係性というのが挙げられますね。
最初は閣下に猜疑心を抱いていたアークが、
徐々に彼女の立場、目的、そして背負ったものの重さを理解するようになり、
良きパートナーにも見えるような間柄になっていくのは実にいいですね〜。
閣下はおそらく、今まで憑依していた勇者たちとは春香との関係のように「師匠・弟子」「先輩・後輩」みたいな感じの結びつきだったんじゃないかと思うんですよね。
だからアークのように高い次元でお互いを理解し合い、時には張り合い、
そして共通の目的(進化の秘法)のために協力体制をとる……というような間柄になれる人間というのは凄く貴重なものだったんじゃないかなーと。
だから長く辛い闘いの中で、きっと彼の存在はかなり特別な位置付けにあったのではないかと思うのですよ。
閣下の歩んできた過去を知っているだけにそれは凄く喜ばしいことではあるんだけど、
同時にこれから迎える彼の結末のことを思うと、それ以上に深い悲しみが襲ってくるという……

そういえばアークのグラフィックが美希の改変なのは、
双方とも錬金術にも秀でた魔法使いなだけに何か意味があるのでは……と勘繰りたくなりましたw

閣下が勇者に立ち塞がるシーンは見ててキツかったなぁ。
マホステエスターク対策を万全にして行ったら、この鎧を纏った敵が現れたときの勇者の絶望感やいかに……w

天空の勇者(春香)はそれまでの失敗を考慮して形式を変えた云々という話があったので、
このときの勇者はまだ血統でその力を引き継いでいる……つまり閣下の子孫である可能性もあるんですよね。
かつて自身が勇者であり、今までずっと勇者に味方してきた彼女が、
宿敵だったはずの魔王として勇者に剣を向けるというだけでも相当アレなんですが、
そこに血縁関係とかまで加わってくるともう……ねぇ。
後に閣下がマホステを使いこなすようになるのもいろいろとこみ上げてくるものが……。
にしてもマスクエのマホステはどれだけドラマを生んだら気が済むのだろうかw


そして、ここで「閣下」誕生秘話が明かされるというのは不意打ちでした。
ただの愛称みたく捉えていたあの呼び名に、そんな背景があったとはなぁ。
「姿なき神」になっときから名前を捨てていたという話でしたが、
きっと魔王として勇者を切り捨てたこの瞬間に、彼女は完全に元の名前と決別したのではないでしょうか。


かつてあった真の「勇者」という呼び方を「閣下」に改めさせようとするシーンとかも、
今回を踏まえてみると印象が大きく変わってきますね。
「閣下」という名称には、僕が思っていたよりもずっと大きくて深いものが秘められていた。
だからこそ、やはりこの物語は「閣下列伝」なのだなぁと、そんなことを考えさせられましたとさ。

後半、帝王として君臨し始めたエスタークの物語は、
既にその悲劇的展開を知っているだけに、楽しみと同時に少し怖さも感じちゃいますね。
一週間という投稿感覚の短さをご褒美だと捉えて、しっかり心の準備をしてから臨みたいです。