はまないの更新停止に際して、ニコマス視聴者と作者の関係について改めて考える

ここ数日凄く忙しくて、ブログの更新も動画の視聴もパッタリ止まってました。
それなりの頻度で通ってくれているような方には申し訳ないです。
んで、久々にニコマスライフに戻ってきたところで、
お気に入りのシリーズ「横浜は白星が少ない」(以下はまない)が非表示+更新停止になっていることを知りました。

シリーズを見ていない人のために簡単に解説すると、
この「はまない」は野球ゲーム「パワプロ2011決定版」を使用し、セリーグ6球団にアイマスキャラ(+パワプロキャラ)を散りばめてペナントレースを行うという作品でした。
メインの横浜には美希など竜宮組を除く765プロのアイドル9人(+あおい・みずき・聖・雅)。
中日には伊織・亜美・あずさ・律子の竜宮組。
巨人には日高舞・小鳥・武田さんの大人組(+猪狩守)。
阪神には麗華・りん・ともみ・美心の魔王組(+阿畑)。
広島には冬馬・翔太・北斗のジュピター組(+カレン)。
ヤクルトには愛・絵理・涼・夢子・サイネリアのDS組。
というメンツがそれぞれ振り分けられ、その状態で4月*1の終盤まで進行していました。
(一応20選記事で書いた紹介文も下に引用しておきます。読み飛ばしても全然大丈夫です

最近、小学生以来・10年ぶりくらいに野球観戦を楽しむようになりました。
野球好きの知人が増えたことや、
昨年流行った我那覇くんネタ経由でなんJ系のまとめブログを読むようになったことなんかも原因なんですが、
この「はまない」で野球をあれこれツッコミながら見る面白さを知った、というのも非常に大きいと思います。


美希たちアイマス2のプロデュース可能組が弱小球団の横浜(DeNAではない)に加入。
他のセ球団には竜宮小町・876・ジュピター・魔王などといった陣営をそれぞれ投入しする……という勢力別の闘いって構図に惹かれたんですが、
基本はリプレイ動画をそのまま出しているシリーズなので、正直途中で飽きちゃんじゃないかなーと思ってたんですよね。
ところが今や、コメントの増加に応じて2、3回リピートするほどハマっていましてw

最近のパワプロの仕様により各キャラに固有の顔グラを作れるようになったことや、
キャラの能力に一長一短があり、現実味のある範囲で個性に応じた活躍をしてくれること。
その一方で、
・チャンス5(チャンス時の最高評価)を所持しているのに得点圏1割、非得点圏4割という逆転現象を起こす春香
・力投しても打線の援護に恵まれず、最後は一発に泣いて敗戦投手になる響
といったような神がかった偶然のネタも生まれることなども楽しめる原因として挙げられますね。
でもやっぱり一番の特徴は、視聴者たちのコメントのノリの楽しさでしょう。

エラーをした春香への叩きで埋まるコメントが、ホームランを打つと一転して賛辞の嵐に。この間わずか一分である。
飛び交うなんJ用語。条件反射的な叩きからの熱い手のひら返し。次々と名付けられる愛称・蔑称。
それらのコメントと共に見る試合のなんと楽しいことか。
特に打撃でも守備でもネタの宝庫である春香さん関連のノリが最高すぎますね。
やたらと扱いが甘いやよいや真美と違って言いたい放題されてるんですが、むしろそれが愛を感じさせる。
圧倒的なエンターティナーぶりで、美希を差し置いて作品の顔になっている気すらします。サンキューハルカッス。

そんなこんなで、なんJのノリを持ちこませたのがこの作品最大の勝因ではないかと。当然好みは別れるでしょうが。
コメント付きで動画を見る、ニコニコという場所ならではの楽しさを感じさせる素敵なシリーズです。

しかしそんな中、5月からモバマスのキャラクターを55人ほど追加することが発表され*2
本編への追加を行う前に、既存アイマスキャラVSシンデレラガールズスペシャルマッチが数試合配信されることに。
そしてこのうちの最新話・3試合目についたコメントがきっかけで、作者のはるぽんさんが更新停止を決めたようです。
僕が見ていた2試合目まではそんなにアレなコメントは無かったように思えるんですが、
残念ながら件の3試合目は見る前に非表示になってしまったので、そこにどういうコメントがついていてどういう状況だったのかは分かりません。

「横浜は白星が少ない」心無いアンチの声が大きくなったが為に更新終了へ
ここにはるぽんさんのツイートがまとめられていますが*3
これを見るに、モバマスに対するアンチコメそのものよりも、
「アンチの影響受けたの?」的なコメントに対してカチンときた感じなのかな? まあ、それまでにもいろいろ鬱憤が溜まっていたのかもしれませんが……。

で、このはまないというシリーズの難しい・特殊なところは、
動画の構造が「物語」というより「プレイ動画」であること。
そして作者が「視聴者に向けた作品」ではなく、
「自分の遊んでいる様子を公開しているだけ。誰に何と言われようと好きなようにやる」っていうスタンスだったことなんですよね。

正直なところ、僕自身はモバマスキャラの早期大量参入に対してはやや怪訝気味だったのです。
4月までは主役の横浜が独走状態だったから、それを変えるテコ入れとしてはアリだと思った。
けど、物量的にも、ステータス的*4にも圧倒的なキャラクターたちをこんなに早くから投入してしまったら、
それはもうシリーズとして全く別物になってしまうのではないだろうか。
一応このシリーズが始まった時点では、僕含むそれなりの人数の視聴者が、主役はあくまで最初のメンバーだと思っていたはずなのに。
それに「既存のプロ選手にアイマスキャラの適度な補強」というバランスが崩れてしまうのではないか、という不安も。
実際大百科の掲示板を見てみると、同じような意見がチラホラ見受けられました。

でも僕は、そういった不満をどこかで口にするような気分にはなれませんでした。
何故ならそれははまないを「作品」として見たときの意見であり、そして作者側がそういう認識をもっていなかったから。
もし同様のことが、はまないと同等以上に思い入れのあるシリーズで起きて、
そのシリーズの作者が自作を「視聴者を意識した作品」として扱っていたならば、
僕は思い切って、このブログで「その展開は大丈夫なの?」的な内容の記事を書いたかもしれないし、コメントで直接作者に届けたかもしれない。
でもはまないに対しては、そうすることの意義を見出せなかった。
作者があくまで「個人の遊び場」だと主張していたから。方向性を曲げる気はないと主張していたから。
だからこのシリーズに対して何か意見したところでどうにもならんだろうって風にしか思えなくて、
もし冷めちゃったらもう黙って距離を置くしかないよなー……と考えていました。

決して、はるぽんさんのそうしたスタンスを叩きたいわけではないんです。
いや、これがもし商業作品なんかが相手だったら、僕は容赦なく作者を批難したと思う。
……でも、ここは「ニコマス」なんですよね。
著作権的な意味でどこまでいってもグレーというかもう完全にブラックな場所で、
ボカロや〜してみたなどとは違って収益に繋がることもない、完全に趣味だけの世界。
そんな場所だからこそ、自分の欲を押し殺してまで視聴者に迎合するよりも、
好きなようにやって、ついてこれる人だけ見てくれれいい……という姿勢だって決して間違ってはいないのです。
視聴者が減ろうがつまんなくなったと言われようが、作者が満足しているならその作品はある種成功と言えるはずだから。

作者の感情なんて一切無視して本音を言わせてもらうと、はまないは凄く勿体ないと思うのよね。
そりゃ最初はあくまで「個人の遊び場」を公開しているだけだったのかもしれないけれど、
でもあの作品には凄くたくさんの視聴者がついてきて、
気合いの入った大百科記事なんかも作られて、
なんJ語が飛び交ったりする独特の文化も生まれた。
そんな場所を、意識だけでも「作品」に転換して進めていったら、もっと凄い場所になったかもしれないのに…と。
実際、叩かれながらも視聴者とのキャッチボールを行って、よりクオリティアップしていったシリーズなんかも今まで見てきましたし。

もう少し話を飛躍させると、
人気のあったシリーズが更新停止したり非表示になったりしたことや、
一つの連載作品を長期にわたって放置しつつ別なシリーズを制作していることに対しても、何か意見したくなるときがある。
「あなたの作品をこれだけの人が楽しみに待ってるんだよ?」とか、
「そっちの作品を作ってて楽しいのはわかるけど、あっちの作品のファンはずっと更新を待ってるんじゃないの?」とか。
でもその度に、「ここはニコマスだ」という事実がその言葉をひっこめさせられる。
作者の彼ら彼女らにはもっと大切な「現実」があり、ニコマスでの創作なんてのはそこから離れた趣味の時間でしかない。
それが苦痛やストレスばかりが伴うようになってしまっては、最早その創作に固執する必要なんて無いでしょう。
だからこの場所で何よりも重視されるのは、
クオリティアップのための創意工夫でも、視聴者の期待でも、作品を完結させる責任感でもなく、
「作者がいかにその創作活動を楽しめているか」なのかもなあと、今更ながら再確認したり。
実際僕も、動画ほど手間のかかるものではないのですが、昔ネットで創作活動をしていたことがありまして……まあ子供のお遊び程度のものだったんですけど。
一応、自分のやりたいことと周りの反応とのバランスをとる苦しさも、
一つの作品を完結まで持っていくことの難しさも、
途中でだれてきたり興味が移ったりして、他の創作に手を出したくなることも、多少は理解できているつもりです。
だから多少不満を抱くことがあっても、
「まあしょうがないよなぁ」という感情が先に来て、諦めがついちゃうんですよね。

「一視聴者」として、僕は「作者」に対してどこまで求めていいのだろうか、どこまで本音を出していいのだろうか。
ニコマスという世界に携わっていると、そんな悩みが常々付きまといます。
特にHN付きで「これは“私”の意見だ」と主張することになる、このブログなんていう場所では特に、ですね。
「こんなことを書いたところで誰も得しないし、ただ自分が白い目で見られるだけなんじゃないか」なんて風に。
実際今このエントリーを書いているときも、やはりこんな考えが頭を駆け巡っていますしねw
ここまで綴ってきた話は、もしかしたら「視聴者様」的な意見に映ってしまったかもしれません。
もし不快な気分にさせてしまったなら、心よりお詫び申し上げます。
書いていて改めて、ある程度好き勝手言える商業作品相手とは違う、
ニコマスと言う場所での作品や作者との距離感の難しさを痛感しました。
……まあ、みんながみんな僕みたいな視聴者ではない。というか明らかに厄介な少数派なのだとは思いますが。

あと最後に。
「個人の遊び場」だろうが「作品」だろうがそんなことは関係なく、
「横浜は白星が少ない」シリーズにこの半年強の間凄く楽しませてもらったことは紛れもない事実です。
だから作者のはるぽんさんに対して、純粋に感謝の気持ちを綴っておきたいと思います。
楽しいひと時を、本当にありがとうございました。
もし再び更新再開するようなことがあったならば、そのときはまた全力で楽しませていただきます。

*1:現実の月日ではなく、ゲーム内の話です

*2:ちなみに、モバマスキャラを何人か途中参加させること自体はシリーズ開始時から発表されていました

*3:ちょっとまとめた人の感情が表に出過ぎている感があるんですが、そこはまあひとまず置いといて

*4:一部圧倒的に既存組を上回っているキャラがいた。既存キャラに関しては、日高舞と170km投げる響以外は現実のトッププレイヤーラインを超えない程度に抑えられていた