たくさんの思い出が下す決断、少ない思い出が生む提案 アイマスクエストⅣ 121話 「それぞれの道」 感想


そういえば2012年10月12日で、シリーズ開始5周年を迎えましたね。
まあ自分が見始めたのは08年6月くらいからなんだけど、にしてもここまで長く続くシリーズになるとはなぁ。
今でも十分早いペースで投稿を続けてくれるておくれPはじめ製作陣一同にはホント感謝がつきません。

(以下ネタバレ含みます)
ここにきて、一人一人の意志や決断といったところにスポットを当ててくれた、そのことがすごく嬉しかった。
律子の言うように実際に選択権を持っているのは春香だけであり、
他のアイドルたちがどういう道を選ぼうがそれは個人の心情の問題でしかないのだけれど、
でも、それでもここで全アイドルの心境に迫ってくれたというのが嬉しいのです。
8章、特に最近の展開は勇者とピサロの2人だけでほとんど回っているような感じだっただけに。

特に印象的だったのは、雪歩とあずさの2人。

雪歩は千早伊織の会話途中に顔グラが消えた&ドット絵が止まった(これは2周目で気づいたんだけど)時点であれ?と気になったんですが、
その直後にこの言葉を聞いてうわーそうかーと。
そうなんだよなぁ。自分の意志と力で道を決めていった真などとは違って、
雪歩は呪いに負けちゃったわけで、あの頃のすべてを振り切って前を向けているわけじゃない。
今も心の奥底に、こういった思いをため込んでいる可能性は十分あったわけです。
「邪心の面装着時の精神経験は膨大かつシビアで描写は避けた」とておくれPがおっしゃっていましたし、
それを持って帰るというのは、雪歩にとってはひたすら恐怖を感じるものなんだろうなぁ……。


あずささんの選択は、一見孤立しそうな美希の味方をしてあげる彼女の優しさを表しているようにも見えるけど、
個人的にはそれ以上に、美希に寄り掛からずにはいられない今のあずささんの繊細さのようなものを感じました。
あずささんも五章からずっと闇を引きづっている、というか本来はあそこで退場してもおかしくないキャラでしたものね。
前回でもメガザルを使うことを全く躊躇っていないみたいでしたし。
ルビスが「あなただけは美希ちゃんの味方でいてあげて」というようなことを言っていましたが、
その言葉に従って美希に寄り添い支え、守ろうとすることだけが今のあずさのモチベーションであり、この世界と彼女とをつなぎとめている唯一の線なのかなぁと。
そういう意味では、あずささんの方が美希の存在に助けられているという感じなのかもしれないなーと改めて。

雪歩にしてもあずさにしても、ここにきてアイドルの負の側面をしっかり描写してくれたのがよかったです。
勇者とピサロに物語の焦点が絞られる中でも、ちゃんと他のキャラの感情を蔑ろにはせず、なぁなぁでは済まさないんだなあという安心感が。
それでこそキャラの感情を第一に構築するマスクエのシナリオですよね。
ただでさえいろいろ回収しなきゃいけない案件が山ほどある状況だけど、できればこの辺もどうにかしてほしいなぁ。特に雪歩は救われてほしい……。

ほかのキャラだと、世界側の代表に真・やよい、P側に美希という状況になることとかはまあ予想通りでしたけど、
律子が「選べない」というのはちょっと意外かも。
DQ世界がどうなるかよりも元の世界に還ることを何より重視してそうな彼女なら、てっきりPを選ぶと思ったのよね。
まあ世界を選んでも時間が経てばPは還れるらしいですけど、にしてもPは長く苦しむことになるし、帰還も遅くなるし……。
世界の管理者たるマスドラと融合したことなんかにも影響されているのかもしれませんが、
個人的にはそれ以上に、ずっとまとめ役として世界に入れ込んでいるアイドルたちを見てきた律子だからこそ、
美希のPへの想いも、真ややよいの世界に対する想いも分かっていて、
だからこそ彼女たちの心情を考えると「選べない」というようになっちゃうのかなぁ……なんてふうに考えました。
あ、そういえば律子の言っていた「春香の選択は、Pを倒すそのときになるまで分からない」という話だけど、
春香が世界(閣下を消す)方を選んだ場合、デスピサロ戦まで待たなくても今すぐに光使えるんじゃね? という感じでちょっと引っかかったり。
この辺のくだりは最近やや混乱気味なので、もしかしたら何か見落としがあるのやもしれませんが……。

あと、今回は思い出の地を巡ったり帰還を意識した会話をしたりと、
物語の終わりが迫っていることを感じさせられるシーンが多くて、ちょっと哀愁に駆られちゃいました。

特にここの千早と伊織の会話が感傷を誘う。やっぱこの2人ええわぁ。
伊織の言うように、千早には是非この世界の記憶を持って帰ってほしいよね。
きっと彼女にとって+になるし、それに「水瀬さん」「萩原さん」という呼称が変わるってのも大きい。
伊織にも持って帰ってもらって、元の世界でも2人でこんな風に仲良くやってほしいです。
あ、もちろん雪歩もね! 「2章組は誰も欠けさせたくない」というておくれPの言葉、信じてますw


でも今回の肝はやっぱり、「みんなが元の姿に→コンサート開催のお知らせ」でしょうか。
アイドルのドット絵は春香・やよい・真・あずさ・美希・律子辺りは既出だった気がしますが、ここにきて全員分出揃うとは……。
春香は私服じゃなくてチャイナ服になる仕様だったけど、流石に今は私服になるのかなw
しかしここでラーの鏡が取り上げられるとはなぁ。
確か春香たちが持っていたのは時間経過で効力が切れるレプリカ品って設定だったけど、
Pのは本物なのでそういう制限は無いのかな?
そもそもなんでPが本物の鏡を持っていたのかとか(時系列上の初出はピサロ編10話のはず。もとは社長の所持物?)、
Pが宿屋においてったのは何か意図があったのかとかいろいろと気になるところですが、まあ今は答えの出ない問いなので考えても仕方ないかな。

それにしても、ここで話を動かしたのが“また”亜美なんですよねえ。
春香以外のアイドルだと、誰よりも話を切り開く力を持っている子かもしれません。
8章、特に今の状況は他のアイドルたちが長い旅の経験からいろんなしがらみに縛られている中、
亜美だけがそこから自由で、故に他のアイドルにはできないさまざまな役目を担っているように思えます。
もちろん立ち位置だけじゃなく、そこに亜美の無邪気さが加わってこその力であり、
「ドランに亜美」という配役がいかに絶妙だったかということをつくづく思い知らされるここ数話ですね。
「キャラクターの感情に基づいて展開していく」ておくれPのシナリオ作りにおいて、
制限が少なくある程度自由に動かせるトリッキーで遊撃的なポジションの亜美は、本当に替えの効かない貴重な存在だと思います。
ておくれP自身も、シナリオを書く上で相当この亜美の存在に助けられているのではないでしょうか。
そんなわけで、ここのところ僕の中での亜美の株上昇が止まることをしらない状態だったりしますw


ほんっとにいいよなぁ。今の状況でこういうことを感じて、こういう台詞を吐いてくれる子がいるというのが、
どれだけこのアイマスエストという物語を明るく照らしてくれていることか……。

ておくれPが「8章のメインディッシュ」とまで謳っている次回のコンサート回は、いろいろと物凄いものが待ち受けていそうですね。
今回の時点で既に「ヒゲの無いいおりん違和感ありすぎワロスwww」とか突っ込む余裕もなかった自分としては、次回はもう間違いなく平静ではいられない予感が……。
次の感想はもしかしたらおかしなテンションでいつも以上に珍妙な文章を綴ることになるかもしれませんが、どうかご容赦くださいw