向日葵娘とそのプロデューサーに惜しみない称賛を


VRL12において追加された2つの新作をもって、つばめPの「向日葵娘」シリーズがひとまず決着を迎えたわけですが……さて、何から書いたものか。
13歳やよいの名作ストーリーPVをリスペクトしつつ、14歳やよいの軌跡を描くこのシリーズ。
つばめPが最後にリスペクト先として選んだのは、カクテル3におけるどん底Pの動画でした。

彼女はひまわりになれないと言った。(該当動画に対するつばめPのマイリスコメより)

この動画が、このやよいの言葉が、どれほどの衝撃を持ってニコマス民に迎え入れられたのか。
08年頃までは視聴範囲がごく狭く、カクテル3もリアルタイムでは視聴していなかった僕には、残念ながらそれをはっきりと捉えることはできません。
ただ、

向日葵娘とは高槻やよいのことである。(VRL12「向日葵娘」ステージの放送者説明文より)

つばめPはやよいに、「やよいはひまわりになれるんだよ」って、そう言ってあげたかったのではないか……なんてふうに思いました。かなりふわっふわな感想ですがw


どん底Pの動画におけるそれも決してただ否定的なだけのニュアンスではなく、最後には前を向いているわけですが、
それでもやはり、つばめPにとってやよいは「向日葵娘」だったんじゃないかなぁ。
それにしても、やよいを最初に「向日葵」に例えた人は誰なのか、どんな理由で思いついたのか。
この2つの動画を見比べ考え込んでいると、そんなことに思いを馳せずにはいられないです。
「向日葵娘」という呼称自体はおそらくぶたPのコミュ動画シリーズからとっているのだろうけど。

また、どん底Pのひまわりには「2人で頑張ろうか」って言ってあげられるプロデューサーがいたわけですが、
つばめPのひまわりでもそこは変わらない。
立ち姿は描かれずとも、やよいと一緒に大切なものを見つけようとするPの姿を確かに見て取ることができました。

そのためにひとつ前の「暴れ出す」があったのかもなーと、生放送で一連の流れを見つつ考えたり。
この暴れ出すって、向日葵娘シリーズの一連の流れにおいて「転」にあたる作品だと思うのです。
FUJISAN ROCK FES」まではどちらかというと、やよいと伊織との友情や切磋琢磨が目立っていた気がします。
しかしここでやよいの暴れ出す感情と駆けつけるPの話が主軸になって、「あれ?」と少し引っかかっていたんですよね。
でも、今思うとこれは「ひまわり」に至るための布石段階だったのかなあと。
まあもしかしたら、アイマス2のやよいシナリオを順になぞっていったらこういう形になったってだけなのかもしれませんが。
(未だにプレイできてないのでその辺がはっきりしない……)


そして向日葵娘、もとい太陽娘となったやよいが迎えたゴール。
もうこの曲が、「スマイル体操」が流れ始めた瞬間、思わず叫びたくなるような気持ちになりました。
そうか、つばめPはここを見据えていたのか、と。
見る側の余計なお世話でしかない話ですが、「ずっと単発で出しながら続けてきたシリーズを、単品の動画が埋もれやすそうな生放送イベントでやるのはもったいないような……」なんてことを実は考えていたんですよね。
でも、ひまわりとこのスマイル体操を続けて視聴者に提示できるという意味では、ここを完結の場所とした意義も大いにあったと言わざるを得ない。

この動画には、それまでのシリーズ中の作品と違ってリスペクト先がありません
もちろんこれは公式曲だから、それまでの作品と違って選曲面でのリスペクト先を特別提示する必要が無いというのもあるかもしれません。
でも僕は、これがつばめPとやよいが切り開いた新たな地平線であるからだと解しました。

MASTER ARTIST2シリーズにおける各アイドルの持ち歌は、2ndvisionのアイドルたちの象徴であり指針であり、彼女たちと切っても切り離せないものだと僕は思っています。
グッと成長して正統派美少女への第一歩を踏み出した真美に、従来よりも正統派路線に傾けた「ジェミー」を。
声優交代で新たな歌のイメージへの転換を求められた雪歩に、明るく恋心を歌う「何度も言えるよ」を。
髪を切って雰囲気が変わったあずさに、キュートな一面を推し出した「ラ♥ブ♥リ♥」を。
竜宮小町のリーダーとして、765プロの先頭に立つことになった伊織に、無敵のNo.1アイドルソング「DIAMOND」を。
そんな中、やよいに与えられた「スマイル体操」。
これを、「いつものやよいらしい明るく元気な歌だなあ」みたいな一言で済ませてはなりません。
「世界中笑顔になれ♪」という圧倒的スケール感で、全ての聴き手の心に明るい灯をともそうとするやよいに、低ランクで仕事している様はそぐわない。
この歌は従来のやよいの魅力はそのままに、やよいをとてつもなく高いステージに押し上げるものだと思うのです。
それこそ、親友でありライバルでもある水瀬伊織の「DIAMOND」と肩を並べられるくらいに。
まさにパーフェクトサン! まさにスーパーアイドル!
それが、アイドルマスター2が最初に映しだした14歳高槻やよいのビジョンなのです。

しかし、この曲が用意したステージにまでやよいを導いた人は、僕の中ではずっと現れていなかった。
一人のアイドルをそこまで連れて行くには、とてつもない労力と、情熱と、積みあげを要するものだから、致し方ない話ではあります。
ましてそれがやよいとなれば、「物凄いアイドル」として共通認識されている千早や美希などよりもずっと難しいかもしれない……。
そんな偉業を、この動画でつばめPは成し遂げたのだと思うのですよ。
やよいのダンスが、歌が、笑顔が、そしてみんなを巻き込むパワーが、そう感じさせてくれました。

話は前後しちゃいますが、「ひまわり」におけるメイPリスペクトのこの演出。
立ち絵の並びには混ざっていないけれど、ちゃんとやよいのオレンジ色もこの歌詞の中に加わっているんですよね。
それに、「彼女“達”はひまわりである」という動画説明文。
これはやよいの一年間を追ったシリーズであったはずが、
いつの間にか美希も、真美も、伊織も、765プロのみんなも、さらにはジュピターや876トリオも、
同じ向日葵として一緒の位置で太陽に目を向け、そして同じ太陽として笑顔を振りまいている。
これこそがアイドル・高槻やよいが頂点足り得る何よりの理由ではないかと思うのですよ。
彼女の凄みを存分に見せつけられ、ただただ圧倒されていましたもの。

あと、基本メイン衣装はピンク系であるアイマスワールドにおいて、
箱○アイマス2のそれが「バイタルサンフラワー」であったというのは何かもう出来すぎじゃね、って感じすらしました。
公式によるこの衣装の抜擢すら、やよいをこのステージに導くためのものだったように思えちゃって……w

改めて、よくぞ高槻やよいをスマイル体操の高みにまで引っ張り上げてくれた……否、一緒に登ってきてくれたものだとただただ感心しっぱなしです。
でも、スマイル体操の動画だけを単体で見ると、ただの「いいPVだなあ」どまりの感想になっていたかもしれません。
この動画が高みに届き得たのは、それまでの向日葵娘の一年が前提としてあったから。
そして向日葵娘の物語がそこまでの説得力を持ち得たのは、ニコマスが積み上げてきたアイドルやよいの数々の歴史が背景にあるから。
つばめPがいくらやよい愛に溢れた素晴らしいプロデューサーであったとしても、氏一人ではなし得なかった偉業かもしれないんですよね。
赤ペンPやtloPや夏蜜柑PやメイPやどん底Pその他諸々を含め、これまで高槻やよいを彩ってきた数々のプロデューサーたちに感謝を。
そして何より、一年超の旅を経て眩しいほど輝ける太陽となった向日葵娘と、そのプロデューサーに、惜しみない賞賛を。

※追記
向こうで紹介してもらってたらからこっちでも……というわけでもないのですが、
VRLつばめPのプロデュース(ただの倉庫)
こちらのcha73氏の記事がシリーズの一作目から順に、アイマス2のストーリーも踏まえつつ丁寧かつ熱く解説していらっしゃるので、是非合わせて読んでみることをおすすめしておきます。
向日葵と太陽の解釈とか僕と少々食い違ってそうな部分もありますが、まあそれはそれで面白いかなーとw