太陽へのジェラシー

ニコマス夏の名物イベントHaRuKarnivalが先日ついに終演を迎えたわけですが、開催中ならともかくこのタイミングならそれほど水を差すことも無いかなー、というわけで少しだけ愚痴を吐き出せてもらうことにします。

端的に言うと、僕はずっとこのハルカニというイベントに苦手意識を持っていました。
苦手といっても、別に企画そのものが不快だったりとか、不満があったりだとかそういうわけではなくて。
むしろ、運営側からも参加者側からも春香とニコマスへの熱い想いを感じるイベントだし、直接イベントそのものを見なくても種々の参加作品を巡るだけで物凄く楽しめるしで、出来ることならこの先もずっと続いてくれるに越したことはないと素直に思っています。
では何が引っかかっているのかというと、きっとこのビッグイベントが天海春香という一人のアイドルのためにあることなんだろうなと。

長らくニコマスを見ているうち、この場所でどれだけ個々のアイドルが掘り下げられるか、報われるか、活躍できるか……そんなことを意識しながら僕はこの世界に関わるようになりました。
今までに無い角度からアイドルを描いた動画がくれば、この子の新しい魅力が発掘されたな、とか。
作品や現状へのフォロー、例えば竜宮小町がIAを獲るifストーリーが作られたりしたらこれで彼女たちは報われたな、とか。
特定のアイドルをメインに置いた動画でマイリス4桁を超えるようなヒット作が出たら、一つ大きな活躍が出来てよかったな、とか。
実際のところは昔ならまだしも、膨大なアイマスファン人口のなかの一部しかニコマスを見ていないであろう今の状況で、一つ二つの動画でアイドルを取り巻く状況が変わるなんてことはそう無いでしょう。だからこれはもう僕の自己満足の世界だという自覚はあります。

しかし次第にニコマスの人口が減った、もしくは分散してきた(?) ことに加え、印象論ではありますが2ndvision以降話題になるのはトリオやクインテット・オールスターものが多い感じで、個々のアイドルにスポットを当てた作品が話題になったり、個人的な範囲でティンとくるものが出てくる機会というのは減ってきたように思えます。
あんまり数字の話ばかりするのもアレですが、単独メインでマイリス数が300や500辺りを超えるPVが年に片手で数えるほどしか無いって子もいるんじゃないでしょうか。
そして、そういう状況になってくると、13人のアイドルの中で圧倒的な人気を誇る天海春香の存在がより際立っているように感じられるのです。

アイマスで一番人気のアイドルは?」という話では必ずしも春香さんの名前があがるとは限りませんが、ニコマスで一番人気のアイドルは?」という話ならば、天海春香以外の答えはあり得ないと思っています。
僕はニコマス20選におけるアイドルの活躍度調査というのを毎回趣味でやっているんですが、08年上半期から今まで春香は一度も首位を譲ることなく絶対的女王として君臨していて、その結果を見る度彼女の桁違いの人気を思い知らされます。
初期は不人気トリオの一角なんて言われてたけど、今となっては長い歴史のほんの一部分だし、
アイマスの顔として他のアイドルの分までいろいろ苦しいものを背負わされているような側面もあるけれど、
それでも春香は、ニコマスという世界において圧倒的に恵まれているアイドルだというように僕の目には映っています。
昔はそんな彼女の突出ぶりを「春香さんすごいなー、トップアイドルだなー」くらいにしか思ってなかったんですが、上述のような環境の変化が起こるにつれ、そこにいろんな感情が混じってくるようになりまして。
依然として圧倒的に主演作品に恵まれている彼女の姿や、マイリストの多くを春香動画が占めている光景を見たりしていると、「春香に集中している作品・作り手がもうちょっと他のアイドルに分散すればいいのに……」みたいな考えを抱くようにもなりました。

で、ようやくハルカニに話が戻るわけですが。
5年間多くの製作者や視聴者を巻き込んできた、伝統も権威もニコマス屈指の大イベントであるハルカーニバル。
今回の「HaRuKarnival'13」タグがついている動画はなんと244本、他の年も毎回100を超える作品が集まっていて、ホントにとんでもないイベントだと思います。
そしてそれらは全て、天海春香という一人のアイドルのためだけに注がれている。*1
一人のアイドルにここまで多くの労力と熱意が注がれたイベントは今まで他に例が無いし、おそらく今後ももう出てこないんじゃないかと思います。
やよいや真美や雪歩で同種のオマージュイベントが開かれたこともあって、それらもそれらなりの規模で盛り上がり収まったかもしれないけれど、しかしハルカニのようなドデカい規模と影響力を誇るものでは無かった。
もちろんハルカニがこれほどのイベントになったのは、運営の方々の手腕・行動力・熱意、それに毎年続けてきたイベントとしての権威や地位などもあってのことでしょう。
それでも、こんなイベントが成立し得たのは、天海春香という唯一無二のNo.1アイドルだからこそではないか。他のアイドルで果たしてこれほどのものを作りあげることが出来るのか。そんな疑問がつい頭をよぎってしまうのです。

多くのPVPたちが渾身の春香のステージを構築し、
他ジャンルの作者さんも宣伝動画等の形でイベントを盛り上げようと支え、
たくさんの視聴者が歓声を祝福を送り、みんなで最高の春香のライブを作り上げる。その中で天海春香が堂々と歌い踊る。
その光景が僕にとっては、まるで天海春香というアイドルの桁違いの人気を、絶対的な女王ぶりを思い知らされるようで。
一人だけこんなに恵まれていてうらやましいとか、他の子たちにもこれほどの歓声が愛が注がれたらいいのにとか、そんなことばかり考えてしまって、目の前のステージを見ていると苦しくなってしまうんです。
いろいろ長々と書いちゃいましたけど、
つまり僕は他の12人のアイドルたちのファンとして、プロデューサーとして、天海春香の圧倒的な人気や地位に嫉妬しているのでしょう。
そしてだからこそ、それを痛いほどに思い知らされるハルカニという場所が恐ろしかったんだろうなと。

でもね、春香だって他の12人と同じく愛を注いできたはずの765アイドルの一人なんですよね。

今回のラストライブ、最終日のラスト1時間ほどだけ会場に足を運んでみました。
そこには栄光のステージで最高のパフォーマンスを披露する春香がいて、それに全力で歓声を送るオーディエンスがいた。
春香のファンならば、プロデューサーならば、それは間違いなく喜び祝福すべき光景のはず。
なのにその中で一人僕だけが、くだらない嫉妬心に苛まれてその輪に加われないでいる。
そんな自分の歪んだ心が、器の小ささが、あまりにも惨めで恥ずかしくて。何だか泣きそうになりました。

別にハルカニが無くたって、春香がいなくたって、そこに注がれていたリソースがそのまま他の12人のアイドルたちに割かれるわけじゃない。
ルカニが終了しても、来年以降春香の良作PVを見られる機会がいくつか減るだろうなというだけですから、ハルカニに幕が下りたという事実を残念に思うことはあっても、愉快に思うようなことは断じてないです。
ただ、これからはもう、この時期に春香を見る度苦しんだり悩んだりすることも無いのかなーと思うとなんだか不思議な感慨を覚えて、その勢いのまま溜まっていたものをいろいろ書き殴ってしまいました。不快に思われた方がいらっしゃたなら申し訳ありません。

*1:他アイドルだけのゲスト枠が用意されていたり、ラストの〆がオールスターだったり、厳密には必ずしも構成要素の全てが春香のみってわけでは無いのですが