「王の帰還(笑)」という感覚

淫夢界隈の人気キャラクター・野獣先輩の新映像が発掘されたらしく、そこで野獣先輩が「やっぱり僕は、王道を征く……」と発言していたことから、この動画に王の帰還というタグが付けられていました。
王の帰還」といえばニコマス界隈ではRidgerP関連のネタとして有名でして、

王の帰還とは
・ファンタジー大作映画“ロード・オブ・ザ・リング”第3作目のサブタイトル。
ニコマスMAD職人、RidgerPの投稿動画17作目(30fps版カタルシス除く)、“(未完) 宝野ハルカ -MASTER ARTIST 66-”に付けられていたタグ。本項ではこちらの概要について記述する。

○概要
ニコマス界隈において高い実力と人気を誇った氏であるが、08年7月25日投稿の合同動画“アイドルマスターiM@S KAKU-tail Party 3 SR」 1-A”への参加以後新作の投稿が長期に亘り途絶え(元々新作の発表期間が2〜3ヶ月単位毎ではあったが)、引退説も囁かれていた。

しかし2009年2月12日。およそ7ヶ月弱の沈黙を破り春香をメインに据え、アリプロをコラボした上記動画がアップロードされる。

氏の生存確認への歓喜のコメント、黒春香の原点回帰を髣髴とさせるRidgerP十八番芸とも言える予告編然とした動画内容に期待感をよせるコメントなどに動画が沸く中、視聴者の感激を表すかのように添付されたニコニコ市場の着メロ、ボイスムービーに志を同じくする形で本タグは付けられた。

元ネタは動画の市場欄にもDVDが添付されている映画、“ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還”と推察される。
人気Pとして多くのファンに愛された氏に相応しい、またその帰還を信じ待ち続けた視聴者の万感の想いをも表したタグではないだろうか……(以下略)

ニコニコ大百科「王の帰還」から引用)

ニコニコ大百科の記事にも、このような形で長々と説明がなされています。
……で、今回の野獣先輩の件でこの記事が多くの淫夢視聴者の目に留まったらしく、彼らがこの記事の掲示板に沢山書き込みをしていったようです。
今はもうそれらは一斉削除されてしまったようですが、その中にいくつかこの記事の内容に対してドン引きしつつ貶しているようなものがあったんですよ。
でも別にそれが腹立たしいとかそういうわけじゃなく、むしろ「いやぁ、まあそうだよなぁ……」と何か納得しちゃいまして
淫夢民の一部マナー悪い人たちはやたら「くっさい」「さっむい」「○○兄貴」とか言って*1外部のものを煽ったり蔑んだりしがちなイメージがあるんですが、そういうの差し引いて一般的な感覚で見ても、やっぱりこれはちょっと引くよなぁと。

そこで思い出したんだけど、王の帰還」って言葉がニコマスで言われるようになったとき、そういえば自分は割とガチで引いてたなぁ……と。
実を言うと当時の僕は、あんまりRidgerP、及び氏を取り巻く環境のことをよく知らなかったんですよね。
いやもちろん覚醒カタルシスとか太陽のあずさとか氏の手掛けた作品を見てはいたんですが、
昔の僕は作者が誰だとかいうことを全く気にせずに動画を見ていて、特にRidgerPは失礼ながら名前の読み方が分からなかったのであまりその名前が脳にインプットされていなかったんじゃないかなと。
そしてようやくその辺を多少気に留めるようになった頃が、ちょうどRidgerPの活動が途絶えていた時期と重なっていまして……。
そんなこんなで、あまりRidgerPという製作者についての理解がないまま「王の帰還」を目の当たりにしました。
あのときの盛り上がりぶりは、なんだか今までに見たことの無いような異様な感覚があって。さらに、一人の投稿者が「王」なんて仰々しい呼び名をつけられて、「王の帰還」だなんて騒がれていて。
そんな光景を見ているうち、「えっ、何なのこの状況は……」って感じで、淫夢民の人たちほどでは無いにしろ引いちゃったわけです。

それから、かの超大作MA66の登場とそれが与えた衝撃をリアルタイムで体感したことで、RidgerPがそういう扱いを受けることにもある程度合点がいき、
加えてニコマス界隈のアレコレにも理解が進んでいくうち、ああいう恥ずかしい二つ名みたいなのは冗談感覚で言ってるんだろうなと認識するようにもなりました。
……しかし、今も尚RidgerPが「王」って呼ばれてるのを見ているとき、僕はどこか引いてしまっているような、そういう感覚を覚えるんですよね。
それはきっと、ニコマスPへのやたら誇張された異名だの礼賛だのなんだのは大抵ネタみたいな感じでやってるんだろうなーと分かっていても、RidgerPに対してのそれだけはどこかガチでやっているように思えるからではないかなーと。
それだけRidgerPの動画や、氏を敬愛するファンの様子には、他と一線を介する異質な熱量や絶賛ムードがあって。この人たちは本気で氏のことを「ニコマスの王」みたく崇めて奉っているのではないかと、そう思わされるような空気が感じられるんですよね。
似たような雰囲気を感じるPは他にも僅かながら存在するんですが、しかしその中でもやっぱりRidgerPのそれは規模も濃さもちょっと別格感があります。(悪い意味ではなく)周囲の「信者力」がずば抜けているとでもいうか……。
今思い返せば、「王の帰還」のときにガチで引いていたのも、そういう特別な匂いを感じとっていたからだったのかなー……なんて。

もちろん別に信者的な勢いで特定の製作者を敬うことが悪いってわけじゃなくて、むしろそれだけ熱心に入れ込むことができるのは凄いと感心しています。
でも僕自身はこれまでどんだけ自分好みの動画を作ってくれる方であろうと、そこまでの感情を持ち合わせた記憶が無いし、そういう風に誰かを熱烈に尊ぶ自分の姿も想像できないんですよね。だからその様子を前にしたとき、自分には理解の及ばないものと捉えて、「引いてしまう」のではないかと分析しています。
そして「王」や「王の帰還」を未だにただのギャグとして通りすぎることが出来ず「引いてしまう」のは、僕がどれだけRidgerPのカリスマ性や氏のファンもとい信者を特別視しているかということを物語っているようで。このワードを見る度、僕は彼らの凄さ特別さを改めて再確認させられるのです。

*1:この辺は淫夢じゃなくてなんJ用語なのかもしれないけど、淫夢民は皆なんJ用語も使ってるイメージなのでイマイチ区別が分かんないです。すいません。