「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」感想①(総評)

クリア、かつ2周目限定イベントを見るところまで進められたので、そろそろ閃Ⅰのときに続いて感想を書いておこうかなーと。
シリーズのファンとして褒めておきたいことも、文句つけたいこともたくさんありますので。
ネタバレはなるべく避けていますが一応格納しときます。

結論から言うと、零の軌跡以降のシリーズ作品では一番楽しめたのではないかと思います。
一番の要因は、「士官学院生徒たちの物語」として非常に楽しめるものだったことですかね。
基本的に大して変化のないゲームシステムよりもシナリオやキャラクターの良し悪しで評価が決まるシリーズだと思うので、その点が今作は前振りの閃Ⅰはもちろん零や碧よりも優れていたのかなーと。
ただ、要素要素を比較検討していくと碧の方が良かった、碧よりさらに悪化してしまったみたいな面も多くあるので、やっぱり手放しで褒めるわけにはいかなかったりするんですが…w
ともかくいいとこも悪いとこもひっくるめて以下ダラダラと書き綴っていこうと思います。

世界観

エレボニア帝国の世界観が魅力的だというのは閃Ⅰに引き続き、さらに今回は内戦下にある各町の描写が非常によかったなーと。
特に連日の戦勝に湧く貴族連合色の強いバリアハートと、その支配下で貴族連合への反感高まる商人の町ケルティックの対比が面白かったのが印象的。
その町の特色ごとにいろんな形で戦争に巻き込まれていって、
それに対して生活感のあるNPC一人一人が様々な反応を示してくれるのが興味深くて、帝国各地を回るのが凄く楽しかったです。
新しくいけるようになった町が一つ増えただけというのは、まあいつものことなので今更落胆することも無かったかな。
今回は名前だけ出てる町がいっぱいあった帝国だからちょっとだけ期待しちゃってたんだけど。

前作ラストでロボット祭りになったときは燃えたというよりもちょっと戸惑い引いちゃってたんですけど、
今作やってみると思ってたよりはロボット兵器達も軌跡の世界観に溶け込んでたように思えました。
別に空や零碧でも全くロボット要素が無かったわけではないんですが、兵器として一般に利用されるレベルまでプッシュするのはどうだろうと危惧していたんですよね。
でも「単純な火力等では戦車の方が上」というのと、「人型の巨大な物は民衆の恐怖を煽ることが出来るからこそ価値がある」っていう説明のおかげでそれなりにスンナリ受け入れられたんじゃないかなーと。
特に後者はこんなロマン兵器をわざわざ持ち出してくる意味を納得させる上で効果大きかったと思います。実際作中の描写見てると説得力感じられましたし。
ただ、選ばれた特殊な力を持つ主人公がロボットに乗って敵ロボットと戦いを繰り広げる……みたいなのが別のシリーズでも見たいかと言われたら、遠慮したいというのが正直なところ。あんまりロボット好きじゃないしなー。

シナリオ①(良かった点)

今作は「士官学院生徒達の物語」としては非常に良いシナリオだったと思います。
前作で楽しく愉快な青春学院生活を送っていた生徒達が、
戦争に巻き込まれ大きな流れに翻弄される中で各々の道を見つけ戦いに身を投じていくという、前作とのギャップに凄くワクワクするものがありました。
Ⅰでお揃いの制服を着ていたⅦ組の生徒達が、Ⅱではバラバラの衣装を着ているっていう構図がいいんですよねー。
またこの作品の素晴らしいところは、その物語が主役のⅦ組生徒達だけじゃなく、直接戦闘に参加しない30人以上のサブキャラ生徒達全員にも用意されていることで。
主役に彼ら脇役の意志も合わせることで、「Ⅶ組の物語」ではなく「士官学院の物語」という大きな枠組でのドラマを感じられるようになって、よりいっそう楽しむことが出来ました。

もう一つ良かった点としては、主人公のリィンが今作でいい感じにキャラが立ってきたこと。
閃Ⅰのときは「またモテモテ万能優等生主人公かー」と辟易していたんですが、
今作では精神的な未熟さ・脆さがはっきりクローズアップされていて、
真っ直ぐひたむきなエステルや超人メンタルのロイドとは対照的な、新しい主人公像を作り上げていたように感じられました。
序章でのエリゼとの会話やⅦ組メンバーとの再会を経て、幕間の覚醒シーンに繋がるまでの流れはリィンの物語として非常によく出来ていたと思います。
そんな主人公がライザーだの鬼の力だの厨二チックな特別な力を手に入れて、今までの主人公よりも大きな役割を背負わされるというのも面白い。
零以降からは特にどんな局面においても主人公が場の中心にいる感じだから、
今回リィンを好きになれて、共感しながらゲームを進めていくことが出来たのはゲームを楽しむ上で非常に大きなアドバンテージになっていたんじゃないかなと。

また、主人公に共感できるという点にも関連して、
今作では主人公たちの目的意識がハッキリしていて共感しやすかったというのが凄くよかったですね。
とにかくまずは散り散りになったⅦ組の仲間との再会を果たす。
それが叶ったら、次は他の士官学院生の招集、そして自分たちにとって何より大切な場所である士官学院の奪還を最大目標として掲げつつ、
内戦下の見過ごせない局面においては中立勢力として介入していく。
局所局所で自分たちがすべきことを考え話し合って、こういった明確な指針を示してくれるから、プレイする側としても気持ちよく彼らを動かし行動を見守ることが出来ました。
碧のときはシナリオ上しょうがない面もあったとはいえなかなか主人公たちの目的がハッキリしないことと、
主人公のロイド、キーキャラクターのキーアが最後までイマイチ好きになれず共感出来なかったり、
他の仲間達の言動や行動にも所々共感出来ない部分があったりで、あまり彼らの物語に入れ込めなかったんですよね。
ぶっちゃけ客観的に見ればシナリオの盛り上がりは碧>>閃Ⅱだと思うんですが、
僕自身の入れ込み具合がその差を埋めていたんじゃないかと思います。

シナリオ②(悪かった点)

続いて良くなかった点。言い出せばいっぱい出てくるんだけど、とりあえず大きく分けて三つとします。
まず一つ目、これはまあ「学院生達の物語」という体裁を取った以上仕方ないことでもあるんだけど、
学生にできる範囲で…ということで内戦中の局所戦ばかりが舞台になって、
リベール中を巻き込む騒動の空や、クロスベルどころか大陸全土を巻き込む問題の中心にいた碧と比べると、物語のスケールはこじんまりしていたと思う。
あくまで学生たちの話だと割りきってそれを楽しめなかった人にとっては、今作のシナリオ評価は低くなるだろうなあと思う。

二つ目は、リィン以外のⅦ組メンバーの活躍の少なさ。これについては後述。

三つ目は、もうこれはシリーズ恒例って感じだけど、決着が付かない事柄の多さ。
いや、結社の計画がどうこうとかそういうシリーズ全体の話があんまり進まないのはもう予想してたし、そっちについてはあんま兎や角言うつもりは無いです。
ただ、今回の主役たるパーティーメンバー関連の話で未消化の設定やら伏線やらが残っているのは凄くもやもやする。
レンの話が零に持ち越しになってロイド達が割りを食っちゃったのも残念だったし、空大好きなのに今ひとつ感動できなかったので、
やっぱりそのシリーズの中心キャラ達の話はなるべくそのシリーズのうちで解決してほしいなあと。
レン関連を零で消化したおかげでエステルはじめ空メンバーと支援課を結び付けられたように。
閃メンバーの話を持ち越すことでⅦ組勢と新主人公とのコネクションを築ける、みたいな狙いがあるのかもしれませんけど……。

キャラクター(メイン)

上述のように、リィンのアイデンティティは今回で凄く確率されて、なかなかいいキャラクターになったと思います。
ただ、他のⅦ組メンバーの描写に関しては、同じく上述のようにちょっと不満が残るところです。
まず一つは、せっかくリィンを脆い・周りに支えられる人間としてキャラ立てしたのに、
肝心のⅦ組メンバーとの関わりにおいてはほとんどリィンが頼られる側で、彼らの側からそうした働きかけをするシーンが殆ど無かったこと。
今作でリィンを叱咤激励したり慰めたりっていう大きな役回りを果たしたのは、エリゼ・アルフィン・トワ・クロウなどⅦ組以外のキャラクターばっかりなんですよね。*1
リィンがⅦ組に大して弱みを見せたり支えられたりってのは最初のマキアスとの再会で自分から抱きつきに行ったところくらいで、後はほとんど記憶に残ってないです。
もちろん存在だけでリィンの支えになってるんだよってのは分かるんだけど、やっぱりシナリオ上のイベントで彼らがリィンをしっかり支えてあげるイベントが欲しかったなあと。
それが出来ないのが、絆イベントがあるから誰か一人だけメインシナリオで特別扱いできないなんていう理由なんだとしたら、やっぱり絆イベントってクソだわっていういつもの結論に至ってしまうなあw

それから、メインシナリオ上においてⅦ組メンバー個人の活躍が少ないのも不満でした。
発売前から、シリーズお馴染みの敵組織にライバルキャラがいるパターンに当てはまらないキャラは空気化するんじゃね、って風に危惧されてましたが、
そういうキャラクター達にも故郷や家族の問題を絡めてくることで何とか見せ場を作ってあげようと努力していたのは伺えました。
碧のときみたいな、シナリオにどう絡んでいたかすらほとんど思い出せないっていうキャラは流石にいなかったかなと。強いて言えばノルドの問題がすぐに片付いたガイウスがちょっと薄かったかなーってくらい。
ただ、見せ場を作ろうと準備するところまではいっても、実際それが効果的に発揮されることが無かったのが残念だったんですよね。
家族が内戦に巻き込まれたのでエリオットが固定メンバーに、故郷の様子を伺うためにアリサが固定メンバーに…というところまでいっても、
実際その場所で起こるイベントにおいて彼らはただリィンに付いてくるだけのメンバーの一人と化していて、渦中の問題について自ら印象的なアクションを起こすことが殆ど無かったと思います。
やっぱり彼らが中心にいるはずのシナリオなんだから、彼ら自身に何か大きな役割を果たしてほしかったなーと。
「リィンの仲間A」から抜けだして自身の手で問題に決着をつけていたキャラはユーシスくらいじゃないですかね。
おそらく今作は皆が同じ学生という横一線の関係で、かつリーダーのリィンが特殊な力を身に付けることで精神的にも武力的にもリィンが頂点に置かれてしまったが故にこういうことになったのかなあと。

ライバルの存在で役割を持たせていたラウラ・フィー・ミリアム・エマらも、空SCや碧と比べると因縁の構築が薄く、かつ決着も中途半端な形で、これまたやはりあまり存在感を発揮できなかったなーと。

Ⅶ組のメンバーたちは大半がルーツがしっかりしていることや、入学から卒業までの物語が出来上がっていることもあって、
どう考えながら生きてきたのか伝わってくる凄く地に足がついたキャラクター達で好感が持てるんだけど、
一方メインシナリオ上の印象が今ひとつ薄いせいで、良くも悪くも「皆そこそこ好き」程度に収まってしまった気がしますね。

キャラクター(サブ)

10代の若者ばかりが中心なゲームなこともあって、脇を支える大人たちの頼もしさが際立っていたのが良かったですね。
特に女性成分が高すぎるなか、パーティで唯一頼れる大人のお兄さんを演じていたトヴァルの存在は凄く光っていたと思います。

敵サイドについては貴族連合のトップ2人(カイエン公とアルバレア公)はシナリオの都合で道化にされちゃってる感じがしましたが、
その他の戦闘員勢については単なる薄っぺらい単純な悪役じゃなくて、それなりに好感度が持てるキャラだったなーと。
いや純粋な悪役をぶちのめすのもそれはそれで楽しいんですけど、決着を曖昧にする閃のシナリオだと敵側はこういうキャラクターの方が良かったと思います。
プレイヤー側からしたらただの悪・下衆にしか思えない敵達を、主人公側が「アイツ憎めないよな」とか言って勝手に許しちゃう碧の気持ち悪さに比べたら遥かにマシ。

キャラクター(学院の生徒・関係者達)

閃の軌跡で一番素晴らしかったのは、Ⅰ・Ⅱ通しての学院生徒達の描写だと思うんですよね。
メインシナリオにはそんなに関わってくることはなくても、
ちゃんと逐一彼らと会話していると、全員に「入学・進級して、部活を選んで、内戦に巻き込まれる中でそれぞれの役割を見つけて全うして、最後に進級・卒業する」という一連の物語があることが分かって、
それを追うのが凄く楽しいしそれがちゃんと描かれることに感動しちゃうわけですよ・
Ⅶ組やトワアンゼリカジョルジュみたいなメイン級のキャラだけじゃなく、この30名以上の生徒達の物語が加わるからこそトールズ士官学院の物語が絶品になるわけですよ。

にしてもⅠのときにモブにしては設定作りこまれてるなーとは思っていましたが、まさかⅡでここまで彼らがクローズアップされるとは思わなんだ。
キャラクターを集めて拠点を強化とか幻想水滸伝なんかでとっくに既出のシステムではあるんだけれど、
閃Ⅰから作中時間で半年分の物語を積み上げてきた、しかし閃Ⅰの時点ではただの賑やかしNPCでしか無かった彼らだからこそ燃えるものがあるのよね。
料理してたり楽器吹いてたりしてた先輩がⅡではレジスタンス活動やってたりする頼もしい姿を見せたりするのとこ凄く衝撃で、でも名門士官学院の生徒達だからこそちゃんと説得力もあるという隙の無さ。
教育受けてるとはいえ、流石に船の機関部分まで全部学生が動かしちゃうのはちょっとやりすぎな気がしないでもないけどw

とあるキャラの故郷が襲撃されたときにそのキャラが様子を見に降りてくるイベントが挟まったりするのも、こいつら凄く大事にされてるなってのが伝わってきて嬉しかったです。
NPCの設定や会話を徹底して作りこんでるのは軌跡シリーズの大きな魅力の一つですが、その中でもさらに彼らの存在は際立っていたと思います。
個人的にはこの生徒達一人ひとりの物語の作り込みを楽しめるかどうかが、閃の評価の最大の分かれ目になるんじゃないかって気がしますね。
メインシナリオだけ追いかけてスルーしてたり、目は通してるけど特に興味が無かったりする人にとっては、
学院生徒集めが面白さの大半を占めている第Ⅱ部のところとか凄く退屈で中弛みしちゃいそうですし。

グラフィック

閃Ⅰに比べれば多少進化しているようには感じられました。
相変わらずアクション演出は碧までと比べるとショボいですが、閃Ⅰのラウラvsフィーを超えるほどのガッカリイベントは無かったですし、努力しようとしているのは伝わってきたかな。
それでもやっぱりアクションイベントの見応えでいえば断然旧作に軍配が上がると思いますが。

閃等身での新しい利点としては、ロボットの迫力が伝わってくるようになったことでしょうか。
作中で語られる「威圧感」という機甲兵の利点が感じられるのはこの等身だからこそって感じもありますし、
ロボット推しの閃としてはこの等身で正解だったのかなーと思ったりもします。
とはいえ旧作のあのちびキャラ演出の素晴らしさを見てきた身としてはやっぱりいろんな面に不満あるんですが、
今更もう等身が戻ることもないでしょうし、早くその差を埋められるように頑張ってくださいとしか。

BGM

これに関してはまあ信頼仕切ってるので、いつも通りいい仕事をされますね、としか。
今作のでいえば、クロウのテーマっぽい扱いだった曲(「Blue Destination」ってやつかな)が素晴らしかったですね。
空のレーヴェも銀の意志があってこその存在感って感じだったから、
今回もクロウというキャラクターを際だたせる上でこのBGMは凄くいい仕事してたんじゃないかなーと。
それから、最後に戦うラスボス(というか裏ボス?)戦で流れるBGMが、「よっしゃー倒すぞー!」って雰囲気じゃないあの独特の戦闘に凄くふさわしいものでグッと来ました。

あと、クロスベルの外伝であの旧作の戦闘BGM持ってくるのは、零碧あんまり好きじゃない僕でも流石に込み上げてくるものがあったなあ。

戦闘

前作はあまりにもクラフトゲーがすぎる感じでしたが、
今回は状態異常が効きづらくなったり、一部の強クラフトが弱体化されたたのと、
体力の多い的が増えたことと火力面でのアーツの優位性が目立つようになって、アーツの存在感もだいぶ出てきていたように思えます。
かといってクラフトもやはり崩しも含めた手数や手軽さという利点があるし、
状態異常も効かないわけじゃない、ターン数が減ってもなおヘブンズやノーブルは強いなど十分利点は多くて、
アーツとクラフトのバランスは歴代作品の中でもかなり優れていたんじゃないかなーと。

戦闘そのもののバランスも、序盤はSクラはもったいぶってると猟兵集団程度にも追い詰められかけたりしてなかなかいい感じだったんですが、
此方側のできる事が増えてくる終盤になるとやっぱりヌルゲー化が進んじゃいますね。
特にタウロス+覇道+Sクラや、パンドラ+冥皇+ロストアーツ等で最大火力を開始早々ぶつけると、開始早々ボス戦が決着しかねなくなりますからね。冷めてしまいそうなので流石に一周目では封印してましたが。
あと、クロノバーストはやっぱり強すぎるので次回作では封印した方がいい気がする。といいつつやっぱりあったら使っちゃうんですが…w
それでもまあ、敵の強さ調整が大雑把すぎた碧やずっと俺のターンだった閃Ⅰに比べたらいくらかマシになっていたんじゃないかなーと。

ただ、パーティメンバーがクロスベル組を除いて男6人、女12人という露骨すぎる偏りだったのはちょっとどうかと思いました。
(一応レギュラーメンバーに限れば男5、女6でバランス取れてますけど…)
空も零碧もパーティメンバーの男女比はほぼ1:1だったというのに、流石にこれはやり過ぎでしょう。
そりゃあ可愛い女の子を動かすのは楽しいけど、ここまで来ると多すぎて有り難みも薄れるし、
カッコいい男キャラだって同じくらい好きだから、そっちの欠乏ぶりが悲しくなってしまいます。
プレイアブルキャラクターが歴代最多っていうサービスぶりそのものは評価に値すると思いますがね。

ロード時間

快適に……というかまともな水準になってました。やったね!
「屋上⇔中庭はロード時間0だから、この2つを順に回ればロード回数一回分を短縮できる…」とか、
「先に□ボタンで直接移動できる建物をひと通り回れば、建物の出入りの回数を減らせるな…」なんてことに頭を使ってた閃Ⅰは今思い直すとやっぱり狂ってたんや…

バグ

プレイ中にフリーズするバグが三回ほど発生しました。
しかもうち2つはボス三連戦の長いイベントを終えた直後だったのでけっこうゲンナリさせられました。
調べたところ他にもたくさん報告事例があったので、僕のvitaではなくゲーム側の欠陥のようですね。ロード短縮を褒めた途端これだよ!
何か碧以降の軌跡は毎回何らかのドデカイ欠陥を抱えてますね。そろそろ信頼が0に近づきつつある……。

絆システム

碧以降すっかりアンチ絆システムと化している僕ですが、今作やってて「絆イベント」そのものは褒めるべき点もあるかなーと感じました。
ギャルゲーみたいなイチャイチャイベントは寒かったりもするんですが、
「落ち込んでいたエリオットがNPC演奏家の姿を見て音楽の力を改めて実感する」とか、
「兵器の飛び交う戦下における剣術の意義についてラウラが思い悩む」とか、
メインシナリオだけではどうしても回収し切れない、けれど仲間それぞれのパーソナリティにおいては重要なイベントをここで回収出来るってのは凄く大きいと思います。
メインシナリオではただリィンに付いてくるだけみたいだったⅦ組メンバーが、
それでもちゃんとどう考え行動しているのかってのが伝わってきたのは絆イベントの功績も大きいと思うのよね。

ただ、そういう利点を考慮してもなお、やっぱり碧から続く絆システムの弊害が大きいのもまた事実で。
まずはパーティ内の主人公以外のキャラクター同士の関係について。
これについては、閃は碧よりは多少ましになったと思うんですよね。
前作でガッツリ取り上げたユーシスマキアスやラウラフィーの関係はもちろん、
他にもちょくちょくこの子とこの子の仲が良さそうとか、この子とこの子の関係面白いなみたいなのが伝わってくるペアがありましたからね。
まあ流石に10人もいる生徒がクラスメイトや寮生として共同生活を送ってきて、リィン以外とは皆似たようなのっぺりした関係ってのは流石に不自然すぎますからね。
ただ、問題はそういういくつかある面白い関係も、シナリオの上ではほとんど活かされていない事で。
例えばユーシスが絡むイベントには毎回マキアスを連れて行ったりしてたんだけど、
シナリオ中様々な局面で悩むユーシスに対してマキアスが言葉や行動を通して働きかけるとか、そういうのが無かったのが残念でした。他のキャラクターよりはちょっと面白いコメントをしてくれるな、ってくらい。
一番掘り下げられてたこのペアすら押しのけて結局リィンがいいところ全部持って行ってしまう、
誰に対してもリィンが一番の友達・特別な人ってのは流石に主人公中心で回りすぎててやっぱツマンナイです。

あとはやっぱり、ヒロインのほとんどがリィンとの恋人候補みたいになって、最後に選んだキャラとくっつくギャルゲーみたいな仕様が気持ち悪い。
これのせいで女性陣はみんな魅力を削がれていると思うし、
シナリオ上では全くそんな素振りを見せないリィンが、いきなり「俺も○○が好きだ」とか言い出すのもあまりに薄っぺらすぎて引いてしまう。しかもロードを繰り返すたび別の女の子に告白し始めるわけだしね。
主人公が喋らないペルソナみたいなゲームだったらこういうシステムでも面白いと思うんですけど、
あくまで人格のある主人公を動かしている軌跡でこれをやる意味がホント分かんないわ。
僕はリィンの物語を外からみたいのであって、リィンに自己投影して女の子とイチャイチャしたいわけじゃないのよ。
だいたいシリーズ最初の空は特定の相手に恋する女の子が主人公、かつ他の仲間同士がくっつきまくるようなゲームだったわけで、その空が好きでこのシリーズにハマったんだから尚更このシステムを受け入れられるわけ無いでしょうと。
それに、ヒロインは皆リィンの嫁()なのに遠慮してか、他の異性間の関係があんまりピックアップされないのも残念。
全く恋愛色の無いユーシスとミリアムの組み合わせくらいしか印象的なペアが無かったような。

そんなこんなで、絆イベントについてはその功績を評価しつつも、やっぱり絆システムはクソっていう考え方は変わらないですね。
絆システム、特に恋愛関係についての批判は山ほど見かけるんですけど、
それでもなお続いてるってことは、それ以上に需要の方が大きいってことなんですかね。
他の人の嗜好を否定するつもりはないけど、何というかちょっとさびしいですね。
次回作では今度こそ無くなってたらいいなーと淡い希望を抱いておきます。

ドラマCD

前回でゲーム本編から切り離された限定版同梱ドラマCDの出来事が、
今回けっこういろんな場所で「あんなことあったよねー」と語られていて、やっぱりあの話ゲーム内に収録しておくべきだっただろ!って改めて怒りが湧いてきました。

……それはさておき、今回のドラマCDの話はあくまでゲームから削ってもいいおまけエピソード程度のものだったし、
かつスピンオフ漫画「審判の指輪」読者としてはそれなりに楽しめるお話にもなっていて中々の出来でした。
個人的にお気に入りなのは、Ⅶ組メンバーが4つの班に分かれて行動するシーン。
本編中でもこういうシチュエーションを描けば、リィン以外の活躍や関係性も描けるのになぁとため息をつきつつ楽しめました。

周回仕様

零以降やたら周回プレイを推奨してくるようになりましたが、
これまでは俺ツエープレイが出来るとか2周目限定出現魔獣と戦えるとか程度で、スルーしても問題無かったんですよね。
でも今作の、シナリオの裏設定・とあるキャラの正体にまつわる重大なエピソードが2周目でしか見れないっていう仕様は酷すぎる。
流石にシリーズファン・作品ファンとしては見るために周回プレイせざるを得ないし、
でもクリアしたばっかりのゲームを直ぐにもう一回プレイし直すってのはひたすらめんどくさい。
僕はただでさえRPGは一回クリアしたら終わりってタイプですし、
まして軌跡みたいなシナリオが売り・お遣いだらけのゲームなんて2回プレイしようとは中々思えませんよ。
せっかくクリアし終えた後凄くいい気分だったのに、
2周目限定イベントの存在を知って余分に20時間もプレイさせられたせいで一気に感想書く前の印象が悪くなっちゃいましたよ。
1周目とはパーティ編成を変えて微妙なイベントの変化を楽しむとかちょっとした面白みもあったりはしたんですが、
それ以上にやっぱり退屈な時間の方が圧倒的に長くて、凄く苦痛な時間でしたね。
製作陣にはRPGを2回もプレイするのが好きじゃない人間もいるんだってことをわかってほしいものです。

その他いろいろ

リィンのフィールドアクションが二段式になってたり、
フィーが銃を使ってカウンターするようになってたり、
前作でケチつけてたところがちょくちょく改善されてて嬉しかったです。

ゲームパッケージの絵柄や人選が叩かれまくってましたが、
これでも立ち絵並べただけ+露骨すぎるフィー推しだった閃Ⅰのパッケよりはまだ遥かにマシだと思います。
カッコいいしⅦ組全員描かれてる限定版パッケージの方が圧倒的にいいとは思いますが。
というかこのシリーズでパッケージがマトモだったのって零と碧だけだよなぁ…w 個人的には空FCも好きだけど

零碧で車、閃ではバイクが登場して「なんやこれ! 徒歩で巡るからこそ軌跡の世界観はよかったんや!」と思い続けてましたが、
バイクでの街道移動が便利すぎてもう徒歩オンリーには戻れないんじゃないかという気がしてきました。

人物ノートはやっぱり良システム。
ただでさえ楽しいNPC会話巡りに、あれを埋める楽しみが加わることでより拍車がかかりますし、
何より学院生徒たちがあんなにもしっかり印象に残るのはこれの力も大きいはず。
今回は一周だけで全部埋められるようになってたのも安心しました。

とりあえず全体通して言いたいことはだいたい書けた……はず。
あとはまた別の記事で、前作の時に引き続いてシナリオのネタバレ感想と、あとはキャラクター語りも気が向いたらやってみたいと思います。

*1:クロウは一応Ⅶ組メンバーだけど立ち位置が特殊ですし