その決着は新たな時代の幕開けか ぷよm@s part35 感想

(※ネタバレ含みます)

パラマストーナメントも前回で終結したことだし今回は繋ぎの一話かな、と思いきやとんでもないエピローグが用意されていたでござるの巻。
前々から示唆されてた雪歩vs美希をこのタイミングで消化するか…と驚きましたが、終わってみるとなるほど「ここでこそ」だよなーと。
33話の感想で、真vs雪歩の勝負が「戦法の多様化、スピード勝負以外の概念」と「ぷよぷよや勝負に対する価値観」という3部のテーマを象徴する一戦だったと書きましたが、
前者のテーマに関してはむしろ今回の方がそれに近いものだったかもしれませんね。
千早最速の一手すらあっさり上回っていく「最速致死連鎖」の頂点にいる美希が、
ペチペチ→堀り合い・クイック・カウンターといった戦法を用いる「アンチ最速致死連鎖」の雪歩に敗れるという光景がその理由ですね。
ここまで最速致死連鎖を昇華させた美希が、それでも尚雪歩に敗れたことで、もう「いかに速く最速致死連鎖を完成させるか」だけの時代は終わったんだと物語っているようでした。
まあ今回の結果は美希が雪歩の戦法を知らなかったせいもあるでしょうし、 
そもそも美希と雪歩の戦法の相性の問題だってあるでしょうから、
単純にこの結果だけで雪歩が美希より強い=最速致死連鎖に拘る戦い方が否定されたというわけではないでしょうけど…。

繰り返し言ってるけど、やっぱりほぼ「速さ比べ」一辺倒な印象の第二部より、
多彩な戦い方やそれぞれの相性なんかが語られる第三部のバトルシーンの方が僕には断然面白くて、中でも特に雪歩の戦い方は圧倒的に楽しいんですよね。

名勝負と言われる12話の千早vs美希に対して「なんか凄いなー」とヤムチャ視点でボケーっとしてた僕でも、
今回雪歩が美希にカウンターで意趣返しするシーンは鳥肌モノでしたから。
何というか、ド素人の僕では「こんな組み方が出来るなんて凄い!」っていう描写にほとんど付いていけなくて、第二部まではなんとなくの雰囲気でしか楽しめなかったんだけど、
第三部、特に雪歩の闘いはもっと大きな戦術レベルでの凄さが描写されることが多いから楽しめるんだろうなーと。
致死連鎖を早く組み上げる美希や千早の凄さはよく分からくても、
堀り合い戦法で美希を焦らし、デスタワーを致死量ギリギリにさせることを誘発してからカウンターを叩き込む雪歩の凄さは理解できますからね。
ドラマ性とかを無視して単純にバトルとして面白かった闘いを3つ選ぶなら、ちはゆき・ゆきまこ・今回のみきゆきと全部雪歩絡みで埋まる勢いです。

今回の勝負で一番印象的だったのは、"あの"美希が雪歩との勝負では終始全く楽しそうな様子を見せなかったこと。
そして、僕がその様子を見て「やっぱりそうかー」と納得していたことでした。
前に律子が「雪歩が美希を倒せるほど強くなったら、美希は嬉々としてぷよる」って言ってましたけど、不思議と僕には美希が雪歩と楽しくぷよぷよするビジョンが見えなかったんですよね。
それは真絡みの因縁云々のせいじゃなく、美希が雪歩と闘うことを面白いと思うかどうかが疑問だったからでして。
というのも、「美希の惚れ込んでるぷよぷよ=第二部までの、最速致死連鎖をぶつけ合うぷよぷよっていうイメージがどこかにあったんですよ。
だから、堀り合い勝負に拘る雪歩とは逆に、美希にとっても雪歩のような戦い方はつまらないものなんじゃないかなーと。
そしたら今回、雪歩があれほどの強さを見せているにもかかわらず美希が「雪歩すごいの!」ってワクワクする様子が欠片もなくて、その疑念がより強くなったというわけです。
今更クイックに驚き敗れるという結末も含めて、何か今回の美希には第二部の頃に一人取り残されてるみたいな印象を受けましたね。
といっても、美希は千早と違って堀り合いの心得もあったみたいですし、
直接雪歩の戦い方を「つまらない」と言ってるわけじゃないから、あくまで僕の妄想の域を出ない話なわけですが。

最速致死連鎖へのこだわり・第二部に取り残されてる〜といえば、千早の事も気がかりですよね。
EDの後日談ほのめかしもあって美希の印象が強烈ですけど、今回は誰より千早に対して残酷な回だったよなあと。
ほぼベストの一手すら美希に上回られたことで究極連鎖法の限界を思い知らされ、
更に最速を極めた美希が雪歩に敗れることで、最早「速く致死連鎖を完成させる」だけの次元の話ではないということも突きつけられるという…。
やっぱりこれからは雪歩のように複数の選択肢・柔軟性が求められるような領域になるんじゃないかって予感がします。
この先千早はモデルチェンジするのか、それとも究極連鎖法にはまだ上の可能性があって、一途な戦い方を貫き続けるのか、
或いはまさかここで折れてしまい脱落していってしまうのか、今後の動向が実に気になるところです。

美希の方は、コメントでも出てたけど961移籍展開があったりするのかなーってのがやっぱ意識しちゃうところですね。
いつだったか、響や貴音の登場も考えてるみたいなことおっしゃってたような気がするし…。
それから、真美。真美についてはとにかく、あんまりキツい展開にならないといいなぁってのが一番ですね。
雪歩と美希のギスギスとかはまだ雪歩が正面切って火花散らしてるからエンタメとして楽しめるんだけど、*1真美の扱いは正直どうも笑えないからなぁ……。

シリーズ自体はまだまだ続くようですが、第三部及びそれに連なるパラマストーナメント編までとりあえず大きな区切りはついたということで。
第三部のテーマ2つを象徴するかのような真と雪歩の決勝戦
そこからさらにそれぞれを際立たせる小鳥さんの圧勝と美希の敗北というラスト3話の濃厚さを立て続けに見せられて、
この第三部・パラマストーナメント編のドラマの完成度の高さに打ち震えていました。
思えば第二部までの頃は既にニコマス架空戦記No.1人気作となっていたぷよm@sの熱にもう今一歩乗っかりきれてなかった感のある僕ですが、
第三部が始まってから約5年かけてようやく、この作品がいかに化け物じみたエンターテイメントであるかを自身の熱狂を持って実感できたように思います。

*1:美希に悪意がないのに雪歩が一方的にふっかけてるのはちとアレだけど…w