持ち歌ゲッター水瀬伊織と七彩ボタン


ニコマス民を驚愕させたカプチーノショックから一夜明け。
もちろんそちらについては思うところありまくりなわけですが、今はまだ口をつぐんでいたいところ。
その代わりといってはなんですが、同時に伊織ソロでのfull収録が発表された七彩ボタンについてちょっと語ってみようかなと。

七彩ボタンといえば、言わずもがな竜宮小町の持ち歌なわけですが、
私の中では同時に、「七彩は伊織の楽曲である」というイメージがあったりします。
それは伊織が竜宮のリーダーであり、ユニットイメージの中心にいるからってのもあるかもしれませんが、
何より、↓のエピソードを知ってしまったことが大きいと思われます。

ドヤ顔で知識披露しつつ、実は今だに原典*1を確認してないザルっぷりで申し訳ないんですが、
どうやら七彩ボタンは元々ただの共通汎用曲か何かだったのが、伊織の歌が良かったがために竜宮小町の持ち歌になったらしい。
このエピソードを初めて聞いたのは七彩の発表から一年ほど経った12年の9月半ばだったんですが、当時震えるような興奮と感動を覚えたことを今でも記憶しています。
相性と実力で持ち歌を手に入れるっていう経緯そのものがドラマチックで面白いってのもそうなんですが、
このアイドル・この歌の場合、単にそれだけでは済まないバックグラウンドがあったわけですよ。
それを説明するためには、今となっては最早懐かしい11年2月発売のXboxアイマスまで時を遡らねばなりませんね。

発売前から竜宮小町とジュピターの件を中心に一悶着どころじゃない騒ぎだったアイマス2。
実際に蓋を開けてみた後の内容に関しても、
竜宮小町のかませっぷりだとか、ぎすぎすらぶすねだとか、燕だとか、地獄の特訓ループだとかまあ色々と物議を醸す点が色々あったわけですが、
私にとって一番悪い意味で強烈だったのは、どっとっぷTVで毎週竜宮小町の低迷っぷりが晒されることでした。

(この画像はPS3版)
アイマス2ではCD売上を競うどっとっぷTVのランキングで上位を目指すのが主目的の一つであり、
プレイヤーユニットは5つの楽曲を順々にリリースしてはより上の順位へ駆け上がっていくわけですが、
一方竜宮小町は何の嫌がらせなのか一年間ずっとスモーキースリル一曲だけで闘っていて、
しかも最初は50位台にいたのが、どんどん他の新曲勢に抜かれていって最終的に80位台まで落ち込んでしまいます。
おまけにXbox版だとこのランキングをスキップできない…どころか毎回わざわざスモスリのところで一時停止する仕様になっていて、竜宮小町がじわじわ沈んでいく様を毎週のように見せ付けられるわけです。
プロデュースできないとか、冬馬にボコボコにやられるとかって点と比べると地味な話かもしれませんが、
私にはこれが度々ボディブローを連打されるようでじわじわとダメージが蓄積して、ちょっと大げさだけどある種のトラウマみたいになってました。

そんな竜宮小町も、8ヶ月後に発売されたPS3版ではエクストラエピソードの追加によってIUで優勝するという物語が描かれ、とりあえずようやく栄冠に輝くことができました。
んで、その追加エピソード内で彼女たちを浮上させる鍵となるのがようやくリリースされた2つめの持ち歌、七彩ボタンなわけです。
つまり七彩ボタンという曲は、竜宮小町の飛翔・救済の象徴みたいな面が僕の中でありまして。*2
その曲を竜宮小町の一員、かつリーダーの伊織が自分の力で勝ち取ってきたということに、僕はとてつもないドラマ性を感じるわけですよ。

アイマス2が発売されて以降、本編の扱いに対するカウンターと、負けず嫌いで熱血な伊織のキャラクター性とが合わさって、
リーダー伊織を中心に竜宮小町が逆襲・栄冠を掴み取るタイプの二次創作動画がニコマスでよく見られるようになりました。
その中に描かれる、逆境の中でも誇り高く、リーダーとして熱くユニットを引っ張っていく伊織の姿はとても美しく輝いて見えて、
11年が終わる頃には、15歳の水瀬伊織は僕の中で2nd visionで最もカッコいいアイドルという位置に収まっていました。
けれどそれはあくまでニコマスの、二次創作の世界の中だからこそ見られる勇姿なのだろうと思っていました。
……しかし同じくらい痺れる情熱的な逆転物語を、実は公式の水瀬伊織もやってのけていた訳ですよ!
スモスリ一曲で竜宮がどん底にいたあの状況の中、
リーダーの伊織は場外戦において自らの力で名曲を持ち歌として勝ち取ってきて、その楽曲が竜宮をトップに導いてくれた。伊織の実力と意地が運命を切り開いたのです。
ゲーム本編内のアレコレを超越した熱いドラマだと思うし、何よりいおりんカッコよすぎるでしょうよと。
この話を知ってようやく、改めて水瀬伊織が文句なしに2ndvisionNo.1カッコいいアイドルに定着しましたね。

今思い返しても、やっぱり当時の竜宮の状況の裏でこんな話があったってのは凄く震えるものがあって、公式アイマス史上最も熱い話なんじゃないかとすら。
だからこそ、この度伊織ソロでのM@STER VERSION七彩ボタンが収録されるのは非常に喜ばしいなと思ったのでした。

ところで、伊織が持ち歌を「勝ち取った」といえばもう一つ、いつの間にか実質持ち歌みたいなことになってたmy songの例もありますね。
あ、実質持ち歌(もしくは準持ち歌)ってのは、僕が勝手に考えてる概念でして。
ソロ楽曲、もしくはゲーム内で持ち歌設定されてる楽曲等以外の、公平に全員共通曲としてリリースされながら、いつの間にか特定アイドルの持ち歌みたいな状況になってる歌の事を指します。
一番わかりやすい例はLittle Match Girlでしょうか。
あれは特に誰かの持ち歌とか設定されているわけではないのに、おそらくほとんどの人が「雪歩の曲」というイメージを抱いているのではないかと思います。
ただ、LMGは元々曲自体Vi系の冬系ソングで雪歩向きなうえ、
初出PVで雪歩センター、セット衣装のスノーフレークリリパットも常に雪歩推し等々、初めから「雪歩のもの」になるのが既定路線な感じなんですよね。
他にも基本「実質持ち歌」に近い位置にある曲というのはこういうプッシュが割と露骨な感じなんですが、
私の知る中だと唯一の例外が、この伊織とマイソンの組み合わせなのです。

初出のPVだとラストにソロで大宇宙な雪歩が全てをかっさらっていく。
M@STER VIRSIONで真、あずさと共に歌唱メンバーに選ばれはしたが、上記のPV内だとセンターにいるのは真。
ラストの「終わらないmysong」パートを飾るのはあずさ、MoM版だと千早。
ニコマスでも、最初の頃はやっぱりバラードの歌い手として評価が高かった千早・あずさを推す声が多かった気がします。
そこから、MSで初のソロfullに選ばれたり、中の人のライブだったりを経て「伊織の歌」という風潮が強くなっていったわけですが、(ニコマス的にはけるまPの動画もかな)
いろんなことが重なってこういう事態になったのでしょうが、結局のところその流れを生んだ一番の要因は、>やっぱり伊織の歌うマイソンが素晴らしかったからというシンプルな答えに他ならないでしょう。
フタリの記憶で芽生えたバラード歌手として伊織の評価が、このマイソンをめぐる経緯で不動のものになったような気がしますね。

そんなこんなで、「全員が同じ曲をそれぞれの個性で歌う」というアイマスの持ち味を知らしめた亜美真美と、
そして共通曲を持ち歌として奪い取ってしまうだけの魔力を持った伊織の二組三人こそが、僕の中ではアイマス界最高の歌い手だったりします。
さて、果たしてそんな伊織が、ともさか版のまま既に伊織ソングとして昇華され神格化された感のあるカプチーノをどう表現してみせるのか。
聴いてみるのが凄く恐ろしくもあり、楽しみでもあるのでした……。

*1:PS3アイマス2のプレシャスアルバムか何かに収録されているらしい(あやふや)

*2:エクストラエピソードの存在が果たして救済と呼べるものなのかどうかとか、そういうめんどくさい話はとりあえずここではパスで…w