シリーズの評価ごと"大逆転"した傑作 「大逆転裁判2」感想

・マンネリ感漂うキャラクター・世界観の一新
逆転裁判の生みの親、巧舟の手がける新作"裁判"ゲーム
"4ショック"以降、私が逆転裁判シリーズに願い続けてきた要素を2つとも満たした「大逆転裁判」は、
近年の逆転裁判シリーズでもっとも発売を待ちわびた待望の作品だったのですが、しかし蓋を開けてみると……、

待望のタクシュー脚本・完全新作ながらも…。 「大逆転裁判」感想

こんな批判成分強めの感想記事を書いてしまうくらい、"期待を裏切られた"と感じるガッカリな出来栄えでした。
伏線ばら撒きっぱなしで消化不良なのは言わずもがな、
遊んでて何度も寝落ちしてしまった、テンポが悪く緊張感も無いダラダラしたシナリオ展開とか、
フラストレーションばっかり溜めてカタルシスを与えてくれない犯人たちとか、
事件そのもののつまらなさ、特に4話の想像を絶するクソみたいな真相とか、
いつもの逆裁らしい楽しさが圧倒的に欠けていて、待ちに待った「新しい逆転裁判」がこんなものになるとは…と悲しくなりましたね。

おかげで、今作の発売前は「大逆転1」の発売前のようなワクワク感がどうにも湧いてこず、
おまけに直前に大傑作「DQ11」が発売され、そのプレイ後の満足感でしばらく燃え尽きちゃってたこともあって、
大逆転裁判2」に手を出すまでに、発売からしばらく間が空いてしまう有様でした。
そんな感じで、微妙なテンションのままのんびりと遊び始めた大逆転2でしたが、
遊び始めるうちにどんどん熱中していき、一気に駆け抜けて、最後には大きな満足感が残る……つまり非常に素晴らしい出来栄えでした。
個人的な評価で逆転裁判シリーズ全作品をおおまかにランク付けしてみると、

傑作…1〜3、検事2
良作…6、5
微妙…検事1、(レイトンvs)、大逆転1
問題作…4

だいたいこんなところですが、*1
今作「大逆転2」は、4以降の「裁判」作品で初めての、"傑作"の面々に肩を並べてくるほどの逸品ではないかと。
検事2の時といい、前作が微妙で期待値低かったときに限って久々の名作が出てきますね…(笑)
ともかくそんな感じで、前作に批判的な記事を書いた手前もあるし、
それ以上に、単純に今の感動をぶつけたいしで、
大逆転2が面白かったよということを綴っておかねばなるまいなと。もう発売からだいぶ時間経っちゃってるけど。
(以下ネタバレ含みます。)

怒涛の伏線回収

前作「大逆転裁判1」で不評を買った一番のポイントは、
なんといっても大量の伏線が未消化のまま、次回作に持ち越しという形で終わったことでしょう。
今ぱっと思いつくだけでも、

・ジョゼール・ブレットの正体。ワトソン殺害の動機。領事裁判権で庇われる理由
・亜双義が抱えていた使命
・名刀"狩魔"と、逆裁シリーズの狩魔一族との関係
・バンジークス検事の担当した被告人が無罪判決を受けた後に死を遂げる理由
・バンジークスを裏切った日本人
・4話に出てきた謎の2人組
・「バスカビル家の犬」を公表してはいけない理由と、寿沙都がその題名を知っていた理由
アイリス・ワトソンとジョン・H・ワトソンの関係
・A.サッシャーの正体
・モールス信号に出てきた4つの名前の意味
・倫敦で開催される万博
・ホームズが語る"倫敦の闇"とは

こんなに沢山、細かいのところを拾えばまだちょこちょこあったかと思いますが、
それらがちゃんと全部回収されて、2できちっと物語に幕を下ろしてくれました。
まあ伏線回収自体はやってもらわないと困るレベルの話として、
今作の素晴らしかったところは、伏線の消化の仕方がどれもちゃんと面白かったことじゃないかと。
「伏線貼りの状態で面白そうな雰囲気だけ醸しておいて、判明すればショボイ真相だった」みたいなこともありがちですが、
大逆転2では伏線の段階での期待にキッチリ応える、ものによってはそれ以上の形で消化されて非常に満足でした。
特に、後述するアイリスとワトソンの関係は予想以上に上手く練られていて感心させられましたね。
モールス信号の4つの名前とかも、最初は殺人のターゲットとかかと思いきやもうちょっと踏み込んだ意味を持たせてましたし。

そうした"面白い伏線消化"が3章以降から加速度的に進んでいき、
またその多くが「プロフェッサー事件」に収束していくカタルシスもあって、
話が進むごとにどんどん熱中していき、終盤はすっかり止め時を見失ってしまいました。

舞台設定と大スケールのクライマックス

「対外政策に揺れる明治時代の日本と英国」という舞台設定には前作から魅力を感じるものがあったのですが、
そこをきちっと活かしてくれたのも今作の良かった点ですね。
ジョゼール・ブレット関連で「日本が格上の英国様相手に気を使っている」というイメージが植えつけられていたので、
プロフェッサーの正体が日本人だと判明して、
「英国側も日本との関係に気を使って事件を極秘にした」という展開にはなるほどなあと唸らされました。
実際は本当の真実を闇に葬るためなんだろうけど、その隠れ蓑の言い訳として上手く機能してますしね。
両国の判事が黒幕で、領事裁判権を悪用した交換殺人計画が立てられていたという真相も、
ちゃんと日本と英国双方の事情が絡まっていて素晴らしかったと思います。
6の日本とクライン王国の話とかは言うほど上手くリンクしてなかったしなあ。

そういう国家絡みの大きな陰謀や、
大英帝国を包む巨大な闇と戦うという終盤の物語のスケール感も凄かった。
「倫敦の闇」という壮大な謳い文句にちゃんと嘘がなかったですもんね。
てっきり5の「法の暗黒時代」みたいな肩透かし感を食らわされるものかと…(笑)
人生を狂わされた人の多さ、絡む因縁の複雑さ、
シチュエーション、ラスボスの立ち位置や風格諸々含めて、
今作のクライマックスはシリーズ最大規模と言っていいんじゃないでしょうか。
同じく王国絡みの話になる6も相当大きな話ではあったけれど、
霊媒という文化が根付いた架空の異国クライン王国よりも、
実在した、しかも当時世界のトップを走っていた大英帝国が舞台の方がよりスケールを感じられますからね。
この「大英帝国をめぐる陰謀」に対するワクワク感は、
霊媒や「ぬすみちゃん」等の超能力・超科学的なものを排除したり、
史実の出来事や人物を登場させたり*2して、
過去のシリーズよりもリアリティを強化させていたおかげって感じもありますね。
(ラストのホームズの超発明品と、謎のハイテク裁判は「そういう演出」として目を瞑る方向で…w)

アイリスとワトソン

今作の伏線回収の中でも一番唸らされたのが、上述したアイリスとワトソン関連の真相のひねり方でした。

・アイリスの苗字の元になった"ワトソン"=ジョン・H・ワトソン博士
・ホームズの相棒だった"ワトソン"=御琴羽教授
・アイリスの本当の父親=クリムト・バンジークス

…まさか、この3つが全部別々だったというのは完全に裏をかかれましたね。
「アイリスの父親=ワトソン博士」については露骨にミスリード誘ってる感あったので警戒してたんですが、
ここまで複雑なことになってるとは流石に思ってもみなかったです。
アイリスが自分の父=ホームズの相棒を"ワトソン"だと誤解しちゃった経緯もわりと自然で強引さを感じなくて良かったです。

ホームズリスペクト作品として非常に重要であろう「相棒・ワトソン君」の正体がまさかの日本人・御琴羽教授っていう展開は意外や意外でしたが、
分かってみるとホンワカした容姿の故・ジョンHワトソン博士よりも、
洋装姿の御琴羽教授の方が「ワトソン君」のイメージされるビジュアルにピッタリハマってるんですよね
これを、普段の御琴羽教授の和装のイメージで包み隠していたのが上手いなあと。
実際大逆転2のパッケージに大きく描かれている洋装の教授を見たときに、
和装姿しか知らない教授とこの絵とが結びつかず、
このキャラは「若かりし日のワトソン博士=ワトソン君」なのかなと誤解しちゃいましたからね。

アイリスの本当のパパ=クリムトの方は、
父親になりそうなキャラを消去法で絞り込んでいったらなんとなく察しが付いて、
アイリスとバロックの会話シーンがちょっと意味深だった後、
クリムトに妻がいたと分かった時点で確信に変わった感じだったかな。
もしかして次回作に持ち越しになるんじゃないかとちょっと危惧していたので、
玄真への「もう1つのお願い」の話題が出た時はホッとしましたね。

あと、ワトソン関連でもう一つ印象的だったのは、
各エピソードの冒頭に入っていた「"ワトソン君"の語り」を最終話のエンディングに持ってきたこと
あの語りなんですけど、"ワトソン君"の真実が分かる2-4まではずっと、
「日本で殺害されたジョン・H・ワトソン博士の言葉」だと思い込んで聞いてたんですよね。
それが、2-5の時点ではあの博士とは別人だと分かり、
本当の相棒だった御琴羽教授もモデルにはなったけれど名前は違うし、
"赤毛連盟"をはじめとする、近年のホームズが解決した事件にも同行している小説内設定の「ワトソン君」とは最早別物でしょう。
つまり、今語られているワトソンの言葉は小説作者のアイリスオリジナルの言葉であり、
ある意味現行の"ワトソン君"に最も近い立ち位置にいるのは、ホームズの解決話を聴いて着想を得ているアイリス自身なのだ…と分かった状態で、
最後の最後、"ワトソン君"のボイスとアイリスのボイスをオーバーラップさせる演出は鳥肌ものでした。
あそこ、成歩堂の語りが始まった時点で
「いつもの『意義あり!締め』きたかー」と思いきやホームズの台詞が来て、
「あれっ!?」ってなったところでホームズサイドに移行して、上述の見事な演出が来た後、
成歩堂が回想したホームズの言葉と対比させる形で、アイリスの回想上の「意義あり!」で締めるっていう流れも美しいですよね。
大逆転シリーズは全体通してこういう演出のセンスが良かったように思います。
共同推理の視覚的な楽しさとか、ラスボスのブレイクシーンのど派手さ&メッセージ性とか。

改善点いろいろ

伏線貼りっぱなしの不完全燃焼作だから大逆転1はつまらない、
それを回収してきちっと締めたから大逆転2は面白くなった。
…と言えばまあその通りなんですけど、
伏線云々を差し引いても大逆転1はいろいろと"逆裁らしさ"を踏み外していてつまんなかったし、大逆転2ではそこがちゃんと修正されていたと思います。

まず、従来通り法廷パートが2日制に分けられるようになったこと。
探偵パートでの伏線貼りがあるからこそ法廷パートの面白さが引き立つのが逆裁なんですが、
前作は探偵→法廷を1日で消化しちゃったから、
探偵パートでの伏線貼りが足りなくて、法廷パートでのぶっつけ本番感が強かったんですよね。
一つ一つの工程がダラダラしていた前作よりも、
2日に分割することでメリハリが生まれるのもやっぱり大きいなと感じました。

それから、前回と違ってちゃんとカタルシスを得られるシナリオ展開になったこと。
「悪しき犯人の嘘をあばき、無実の被告人を助ける」というシリーズの基本的な楽しみが、前作だとかなり損なわれてましたからね。
伏線貼りのために気持ちよく終わらせられなかった面もあるんでしょうけど、
被告人・犯人共に上記の鉄則を守ってくれてたのって、1だと最後の5話くらいしか無かったように思えます。
その点、今作は守りたい被告人、追い詰めて楽しい犯人という"当たり前の楽しさ"が戻ってきてたかなと。
あと、前作では味方サイドの寿沙都・ホームズ・アイリス含め登場人物皆から主人公が軽んじられていた感があったのが、
今作だとデレデレのバンジークス検事はじめ、周囲から認められ信頼される描写が多くて、
今までフラストレーションを溜めてた部分がカタルシスに変わってくれたかなと。
駆け出し素人弁護士時代の1と、その成長があった後の2だからこその変化ではありますが。

あとは1だと事件そのものがクソつまんなくて、ミステリとしてどうなのって感じでしたが、
2では2章が今までよりはいい意味で複雑化した展開なっていて謎解き甲斐があったり、
3章で"瞬間移動"という逆裁らしいハッタリの効いたシチュエーションが飛び出してきたりと、ここもだいぶマシになってたなあと。

大逆転シリーズの新要素、「最終弁論」と「共同推理」にもいくらか改善が見られたかなと。
最終弁論は前作でアホすぎる陪審員に付き合わされるのがとにかくダルかった記憶があるけど、
今作、特に3章辺りの陪審員はいくらか良識ある感じになっていて、そんなにストレスは無かったように思います。
ただ、それでも緊張感削がれちゃう微妙なシステムだなってのは変わらなかったので、
最終話で思い切って陪審員を排除したのはいい判断だったんじゃないかと。
シナリオ展開上その方が自然とはいえ、
作品のわりと目玉的な要素をここ一番で削るってけっこう悩ましいところだと思いますし。

共同推理の方は、元々前作の時点から演出の楽しさとか割との好みのシステムではあったんですが、
ホームズの的外れな推理を長々と聞かされる→2周目へ…っていうテンポの悪さがどうも気になってて。
だからこそ、今回最後の共同推理シーンでついにその流れをとっぱらったのは、
今までとのギャップでよりスピード感が引き立って、シナリオの流れにも合わせた上手い手法だったなあと。
あそこはBGM、シチュエーション、キャラ、演出全てが熱いしカッコイイしで、今作随一の名シーンでした。
あのシーンのためだけに今までの共同推理シーンがあったと言っても過言ないのでは。

ネーミングとテキストセンス

タクシュー逆裁の持ち味であるネーミングやテキストのユニークなセンスが存分に発揮されてたかなと。
前作は「コゼニー・メグンダル」一強ってイメージでしたが、
今回は「エライダ・メニンゲン」とか「エブリデイ・ミテルモン」とかかなり飛ばしてたなぁと。
中でも、「アン・サッシャー」は一見すると凄くありがちな英国女性っぽくて秀逸なネーミングですね。
(「ジョバンニ・ジコール」の完成度にはまだ一歩及ばないかなという感じですが…w)
あとは「マメモミメモ」の語感とかもお気に入り。

テキストに関してだと、今回遊んでてすごいなあと思ったのが、
神の聖杯をこまめに管理してるバンジークス検事とか、
親友に対してやたらと毒のある言葉を投げかけてくる亜双義とか、
突然鼠の鳴き真似を始めたりタップダンス踊り始めたりする御琴羽教授とか、
真面目そう・シリアス寄りのキャラに対して根幹を崩さないまま、絶妙にお茶目さや弄りがいのある隙を作ってくるところですね。
御剣怜侍というキャラの完成度に象徴されるように、
この辺の絶妙なバランス感覚はタクシューのテキストの強みだなあと。
基本的に重い話が続く今作の中で、こういうどのキャラにもネタを仕込めるテキストセンスがいい具合に中和してくれていたように思います。

気になった点諸々

そんなこんなで概ね賛辞の並ぶ傑作だったのですが、
逆に遊んでて引っかかった・残念に思った点をシナリオ面中心にいくつか。

・ホームズ無双、困ったときのホームズ頼み感が強かった今作のシナリオ。
4の成歩堂と違って、基本的には主人公を立ててくれるからそんなに気にはならなかったけれど、
ラストのトドメをホームズに持って行かれちゃったのは流石にちょっと消化不良。
シナリオ展開的に女王が「倫敦の司法に闇は必要ない」って宣言する描写自体は必要だったと思うけど、
なんとか形を変えて、主人公自身のアイデア・証拠品で決着を付けさせて欲しかったですね。

・ラストといえば、ホームズのホログラム発明があまりにハイテクすぎたのもビックリ。
超能力、超科学的なものを出さないのは今作の良さで、
ホームズの発明品もちょっと時代を先取り的なくらいのものだと捉えてたから、
ラストでいきなりとんでもないものが出てきてちょっと面食らいました。
まああくまで演出的なものだと割り切ればそんなに気にはならなかったですが。そもそも裁判所も謎のハイテクシステムだし。

・多くの悪党を葬ってきた"死神"の実行犯アン・サッシャーが、
豆籾記者とかいう一般人にあっさり殺されちゃったのは、プロの殺し屋って素性が分かるとどうなのって感じ。
慈獄判事は亜双義なんかよりも豆籾を刺客として送り込むべきでしたね……。
サッシャーといえば、海水浴に行きたがったのはなんかの伏線だと思ってたんだけど、結局ホントにただの趣味行動だったのかしら。
正体分かってみると、なんかプロの殺し屋ってイメージがどうもしっくりこないキャラですね。
呑気に大学生続けてたのも…まあこれは仕事で使う毒の研究をしてたと思えばまだ納得できるかな。

・グーロイネとシス親子の苗字が違う理由って未回収のまま終わりましたよね。あれ大した理由無かったのかな。
その辺の謎も含めて、この親子はシナリオの根幹に関わる重要人物だろうと踏んでいたのですが、
終わってみると言うほどのポジションでは無かったですね。

・未回収といえば、結局バンジークス検事の銃が無くなった理由もホントにただ無くしただけだったのかしら。
あれ絶対、「死神がバンジークスの銃を使って殺人を続けていて、それが理由でバンジークスが疑われる」的な展開への布石だと思ってたのになあ。

・10年前のプロフェッサーの犯行の手口を再検証する展開が来るんじゃないかと予想してて、
猟犬を使ったグロい殺害方法やプロフェッサーのテーマのおどろおどろしさに恐れつつもワクワクしていたのですが、
結局そういう展開は来なくてちょっと肩透かし感。
プロフェッサー事件関連でいえば、「バスカビル」小説の元になったメモが残されていた辺り、
10年前のホームズと御琴羽のコンビも事件のことをいろいろ調べていたものと思われて、
その関係でホームズも因縁の渦に巻き込まれるものと思っていたんですが、あんまりその辺掘り下げられなかったですね。
10年前のリベンジ込みで、ホームズが猟犬殺人の真相を再捜査…みたいなシチュエーション期待してたんですが。

・前作からそうでしたが、裁判終了後の被告人等に対する証拠品突きつけが無いのがちょっと寂しい。
あれで被告の心を救ってハッピーエンド…的な締め方が好きだったんですけどね。

・恒例のEDで後日談話してくれるキャラの数がいつもよりも少なくてちょっとガッカリ。
犯人以外はだいたい出てきてくれるイメージなんですけど、今回は御琴羽教授とかですら出てこなかったもんなあ。
故人のグレグソンをああいう形でもってきたのは粋な計らいできしたけど。

エピソード感想

・1話「弁護少女の覚醒と冒險」
エピソードそのものは導入らしいシンプルなものだったけど、
男装した寿沙都を操作するっていうシチュエーションは楽しかったです。
親友を弁護っていう状況も逆裁の伝統的な形で好きなんだけど、
(作中でもツッコまれていたが)寿沙都さんの喋り方が余所余所しくてイマイチ親友感無いのが惜しい。
でもタッグで犯人にスサト投げするシーンは爽快感あって良かったかな。
あれ1だと餌食になるの主人公ばっかりで、どっちかというとフラストレーション要素なイメージだった分余計に…w

・2話「吾輩と霧の夜の回想」
前作の感想でも書いたんですが、
大逆転1-4話は顔見世だけの謎キャラが出てきて消化不良だわ、事件の真相が斜め下すぎるわで歴代最低クラスのクソエピソードでした。
けれど、この2-2話でペテンシーやグリーン等の前振りが回収されて、
クソみたいなナイフ落下事件も、今回の毒殺トリックが時間差発動するという仕掛けの面白さにつながってくれて、
多少はあの駄作エピソードにも価値が出てきたかなと。
というかどうみても1-4と2-2は2つで1つの関係だし、
流石にこの2つはまとめて1話に圧縮して、前作の時点で消化しておくべきだったと思います。
ようやく探偵・法廷両面の本格的エピソードが始まった…と思いきやあの出来だった1-4はホント前作の低評価にかなり響いてたので。

さておき2-2単体での話をすると被害者・犯人両方の立場を併せ持つペテンシーとグリーンの関係性とか、
石鹸使ってガス代金ごまかす話のいい意味でのしょうもなさや、
その辺の寄り道小話が事件の真相究明に繋がってくる展開とか、
それなりに見所がある・解きがいがある事件になっていて、ようやくミステリーとしてまともに楽しめる話が来たかという感じでした。
なにせ大逆転1-1話からこの方、ずっと単純な事件ばっかりで全然面白みがなかったですもんね。
法廷パートが2日制に戻ってたこととかもあって、今作はだいぶ良くなってるかもと期待を抱き始められたエピソードでした。
プロフェッサー関連との繋がりがラストの首輪だけというのはちょっと肩透かしだったけど。

・3話「未来科学と亡霊の帰還」
「瞬間移動装置を使った殺人トリック」というようやく逆裁らしいハッタリ効いた事件が出てきたなと思いきや、
プロフェッサー事件の壮大な話にどんどん重きが置かれていって、最早それどころじゃなくなったエピソード。
作中でもツッコまれていましたが、途中からドビンボー博士の置いてけぼり感強かったですね。
普通にイーノック犯人で解決するものかと思ってたので、
まさかこの話でドクターシスの退場や亜双義の復活・プロフェッサーの正体判明までやりきっちゃうとは思わなんだ。
亜双義の復活は確かに熱いっちゃ熱いんだけど、
直前の「父上!?」っていう衝撃の台詞を流して再開の言葉を交わし始めたので、
いいから早くプロフェッサーの正体の方に触れてくれよっていうソワソワがあってイマイチ感動しきれなかったです。
もちろん前述したように、プロフェッサーの正体が日本人・しかも亜双義の父親ってのは面白い展開だしいろんな点が繋がる快感もあってワクワクしましたが。

というように、プロフェッサー事件への導入という側面が強いエピソードでしたが、
事件自体のテーマである"科学"に関する物語としては、
犯人のイーノックと被告人のドビンボーの関係性が見所でした。
("墓荒らし"など全く非がないわけではないが)不幸にも科学者としての道を閉ざされたイーノックが、
ドビンボーの的外れな理論に対して、科学者としての怒りや矜持をみせるシーンは胸にくるものがあったし、
「かわいそうだけど正論だよなあ…」と落ち込むドビンボーを見ていたところに、
友人としてのバンジークス検事のカッコイイフォローが入るのも痺れました。
明らかに非現実的なドビンボーの発明や、
それを嘲笑うイーノックを冷静に眺めていたバンジークス検事が、
あのタイミングで、ああいう友人としての怒りや思いやりを感じさせる言葉を吐くのが良いですよね。
あそこの台詞回しホント凄く彼らしいし素敵で、今作の中でもかなり気に入っているシーンの一つです。

・4話「ねじれた男と最後の挨拶」
・5話「成歩堂龍ノ介の覺悟」

レギュラーキャラのグレグソン刑事が亡くなり、
メイン検事が被告人になり、代わりに検事席に立つのが親友……といういかにも最終話なノリで、
「え、4話でこれとか5話どうすんの!? 今回全4話制なのかな?」と考えてたら、
4話と5話合わせて1つのエピソード扱いという"5"の最終話的な形式でしたね。
初代1-4(逆転、そしてサヨナラ)と1-5(蘇る逆転)の2つの性質を併せ持ったようなエピソードでしたが、
どっちかというと4話は事件の状況やミテルモンの境遇等が「逆転、そしてサヨナラ」を、
5話は過去の凶悪連続殺人の真相に迫る展開や、ヴォルテックスとの戦い等が「蘇る逆転」を想起させました。この流れは狙ってやってるのかな。
様々な伏線が収束し、複雑な因縁が絡み合うプロフェッサー事件を紐解く快感や、
亜双義との親友対決、ホームズと相棒のコンビ復活等の熱い展開、
強大な権力者・倫敦の闇との壮大な戦い等、最終話にふさわしい盛り上がる要素満載のエピソードでした。
前作の最終話がらしからぬこじんまりした話だった分、余計にギャップが際立ちますね。
大逆転シリーズはここまでの8話全てがこのラストエピソードのためにあったといっても過言じゃない作りですが、
それだけ長いこと"溜め"を見せられた分を回収してくれるくらいの価値は十分あったんじゃないかなと。

前半・4話はホームズの有名作2つ「赤毛連盟」「唇のねじれた男」のオマージュ要素が強い話で、
赤毛連盟の方はアレンジを加えて、ねじれた男はわりと原作まんまな作りだったみたいですが、
前者の方だけあらすじを知ってた自分としては赤毛連盟のアレンジを楽しみつつ、ミテルモンの変装にも素直に驚けるという、ある意味一番ベストな楽しみ方ができました。

後半・5話はホームズと教授の熱い共同推理シーンも見ものでしたが、
一番印象的だったのは、ついにシリーズ初の裁判官黒幕展開、それも慈獄→ヴォルテックスの二連戦で来たことでしょうか。
特に、vsヴォルテックスは現在進行形の裁判での裁判長を告発するという衝撃のシチュエーションでしたしね。
こういう図式実際にきたらどうするんだろうかと想像したこともあったんですが、
普通に考えたらやっぱり告発を受けた時点で、審理内容の当事者になっちゃった裁判官は他の判事と交代すべきですよね。
当事者が裁判官として自分の都合のいいように展開左右できちゃうのってどうなのよって感じだし。
まあでもヴォルテックスさんは告発受けた後でも最低限のルールは守って、ある程度は正当な判定してる風を装ってたのでそこまで違和感は無かったかな。
もちろんその裏で何とか逃げ切る方向に舵を切ろうとしているのは見え見えなので、
その状況下で、如何に「裁判を続けるざるを得ない状況を作り出すか」という戦いが繰り広げられるのは、これまでにない楽しさがあって結果的に非常に良い展開だったかと。
上述したように、最後のトドメをホームズに投げちゃったことだけが残念かな。

キャラクター語り

成歩堂龍ノ介
無個性というわけではないが、良くも悪くも成歩堂龍一のコンパチ感が強くてあんまりキャラ単体としては印象に残らない明治版なるほど君。
しかし、大逆転1では一端の弁護士としてスタート地点に立つまで、
2では将来の日本司法会を担うほどの期待株となるまでの成長の軌跡がしっかり描かれていたし、
亜双義との友人関係、寿沙都とのパートナー関係、ホームズとの師弟(?)関係など関係性にも恵まれ、立派に主人公を演じてくれてたんじゃないかなと。
上でも書きましたが、出発点が今までのどの主人公よりも"素人"だったせいか1では侮られているような描写が多くて、
その分2では立派になった彼が周りから認められるようになったことが嬉しかったですね。

御琴羽寿沙都
個人的には、2で一番評価が上がったのは寿沙都さんかもしれません。
1ではあまり主人公との信頼関係が出来上がってないし、最終話の肝心なところでは傍にいないしでどうにもパートナー感が薄かったのですが、
今作では開幕からいきなりヒロイックな活躍を見せて頼もしさを上澄みしてきたうえで、
最終話までずっと主人公の相棒を勤めてくれて、プレイする事にどんどん信頼感や愛着が湧いてきました。
前作の彼女自身も含めて、逆裁ヒロインって最終話で被疑者になったり攫われたりと何らかの理由で離脱することが多いので、
最後まで一緒に戦えたのは嬉しかったですね。(というか被告人にならずに逃げ切ったヒロインってこの子が初なのでは…w)

今までと違って、霊媒やぬすみちゃんみたいな特殊技能に頼らずサポートしてくれる点は前作から評価していたのだけれど、
今作では法の道を志した理由が明かされたり、素で大法廷に立てない"女"としての歯がゆさを覗かせたり、
"法務助手"としての掘り下げが進んだのも印象的でした。
前作で「この子と一緒に戦いたい」と思いづらかったのは、そういうバックボーンの描写が不足してたのも今思えば原因だったかなと。
そこを踏まえたうえで改めて見ると、
法の道はまだ付け焼刃の龍ノ介にとって、法律家となるため研鑽を積んできた寿沙都は足りない点を補ってくれるいいパートナーなんだなあと。
前作ラストで、寿沙都を「世界最高の助手」と評する龍ノ介にはイマイチ同意できなかったものですが、
今作のラストでは、寿沙都が日本についてきてくれて嬉しい・頼もしいと思う龍ノ介に共感できるようになっていて、
ここの差が、彼女が2のシナリオを通して良きパートナーとして育ってくれたことを物語っているかなと。

シャーロック・ホームズ
逆裁流・タクシュー流の衝撃的なアレンジを施された世界一有名な名探偵。
前作ではどっちかというとズッコケ・破天荒っぷりが目立っていた気がしますが、
今作では誰よりも先の展開を見通していて、そこに導いてくれるチートキャラっぷりが存分に発揮されていました。
そういう、実のところ反則じみた万能キャラであることを、
表面のトボけた言動やトンデモ推理で覆い隠してバランスを取っているキャラだと思ってるんですが、
クライマックスの共同推理でのカッコよさを見ると、それも道化を演じていただけっぽいですよね。
しかしまあ、司法会の大権力者・倫敦の闇に立ち向かうというシチュエーションをスケール感や敵の格を保ったままやりきろうとするならば、
龍ノ介や寿沙都・亜双義のような青臭い若者だけじゃなく、こういう超有能キャラが味方にいないと説得力に欠けそうでもあります。
前述したように、ラストのトドメを除けば主人公の立場を喰ってしまうほど出張ってくるキャラでもなかったし、
キャラ個人の魅力も含めて、ホームズの存在は概ね大逆転裁判の物語にとってプラスに働いていたかなと。

アイリス・ワトソン
前作1-5での有能助手っぷりが寿沙都さんの立場を奪ってしまいそうな勢いでしたが、
今作では寿沙都さんが頑張ってた分、アイリスちゃんの活躍はやや控えめでしたね。
彼女の出生の謎が最終話の真相究明のトリを飾るような位置づけでしたが、
上述した"ワトソン"姓の捻った由来に加えて、
アイリスという名前の方も「あやめ」が由来という思わぬところからのファンサービス要素で、二重に驚かされましたね。

ホームズを"パパ"と呼ぶシーンは、ベタだけどウルッときてしまいました。
やっぱり子供を使った感動シーンはズルいよなあ…w
いかにも漫画的なスーパー天才キャラでありながらも、
ちゃんと等身大の子供らしさも兼ね備えてるのがこの子のいいところですね。

バロック・バンジークス
前作の時点ではほとんど伏線未回収だし、面白みもないしで印象に残らない敵検事だったのですが、
今作で一気に、いい具合にキャラが立ったなあと。
"化けたな"と感じたのはやはり2-3話でしょうか。
探偵パートで律儀にツッコミ入れてくれる辺りで「あれ、こいつ面白いやつだな」と思い始めたし、
なんといってもドビンボー博士との友情劇が良かった。
イーノックの嘲笑に落ち込むドビンボーにかけた激励の言葉のカッコ良さや、
不器用ながらも友人を大切に想う姿を見て一気に好感度上がりました。
その後だからこそ、被告人になった彼を助けてあげたいというモチベーションも湧いてくるし、
疑念に苦しみながら、抑止力として"死神"の名を背負って戦ってきたという背景を知ってますますその気持ちが強くなりましたね。

ラストで彼とアイリスとの意外な関係性が分かって、
「もっとこの2人の絡み見てみたかったなー」…と思ったら、ちょうどおまけの特典エピソードが絶妙にその役割を果たしてくれました。
おまけは本編クリア後に回す人が多いだろうと見越してああいうのを持ってきたとしたら、粋な計らいだなあと。

亜双義一真
テーマ曲の素晴らしさも相まって前作では特に惹かれるカッコイイキャラで、それだけにあのあっさり退場は消化不良すぎました。
……と思ったらやっぱりあれで終わるわけもなく再登場しましたね。
1-2の事件自体はあくまで偶発的な事故でしたってのはちょっと物足りないけど、まあ嬉しかったです。
仮面の男状態での状態はバレバレすぎるので、無駄に引っ張らずさっさと明かしてくれたのも良かったと思います。

成歩堂との関係・侍的なキャラ造形・テーマカラーが赤…‥などなど、
バンジークス検事よりも亜双義の方が御剣怜侍の系譜を感じるキャラクターだったので、
今回検事として立ちふさがる展開がきたのは期待通りですごく嬉しかったです。しかもヒラヒラ付きで。
検事・亜双義はちょっと憎しみに囚われすぎて真実が見えてない感もありましたが、
そういう青さも含めて魅力になるキャラだと思うし、
憎しみを盾に審理をのばし食らいつく姿が、結果的にヴォルテックス攻略につながってちゃんと"共闘"感も味わえたので良かったと思います。

弁護士志望からはじまり、最後は検事の道に落ち着くという過程も御剣をなぞっていて感心しましたが、
"検事2"でその辺のドラマを完璧に描いた御剣と比べてしまうと、
酷だけど亜双義の鞍替えの理由はちょっと弱い感じがしたかな。
まあ、元々御剣ほど弁護士に拘る強い理由があったわけでもないので、そんなもんかなとも思いますが。
あと、因縁渦巻きまくったバンジークス検事と最終的に師弟的な関係になるのは凄くドラマチックで痺れました。
亜双義に、バンジークス検事の眉間のシワや洋風貴族的な要素をプラスするとまさに御剣怜侍って感じになるので、
御剣成分を2人のライバルに分割して、最終的にそれが合わさるようになるって流れは凄く上手い仕掛けだなあと。
そういえば"狩魔"じゃない方の、もう一本の刀がまさに"御剣"的な名前なんじゃないかと疑ってたんですが、
結局あの刀特に触れませんでしたね。
最後に成歩堂と剣を突き合わす図をやりたいがためだけの二刀流だったのかな。

●トバイアス・グレグソン
前作では1-5での逆裁刑事枠らしからぬ醜態に、
「株が回復する見込みも薄いし、できればもう見たくないキャラクター」とまで評していたグレグソン刑事。
モールス信号に名前が出てきた時点でまだなんかあるんだろうなとは思いましたが、まさかこんな形になるとは…。

前作で不快感を覚えた一番の原因は、被告の少女が命の危機であるにも関わらず仕事の都合を優先しちゃった点だったのですが、
今作では何故かその当本人であるジーナの恩人的なポジションに収まってるし、
主人公たちにも前作より協力的だったり理解者的な姿をみせてくる。
「良くはなったけど、、前作の不評を受けて無理やりキャラ路線修正してないかこれ…」とやや懐疑的な目で見ていたのですが、
最終話で「"死神"の頭脳」という意外すぎる正体が明かされて、なるほどいろいろ腑に落ちました。
「己の正義のために汚れ役を担う者」として見れば行動様式が一貫していて
根は優しい正義感という性格設定と、1-5の行動とが矛盾せずちゃんと両立しますもんね。
"正しい人"ではないかもしれいが、苦しみながら己の正義に殉じた人物として、
結果的になかなかドラマチックで魅力なキャラに仕上がったんじゃないかと。
正直前作の時点で"失敗キャラ"だと思っていたこの人がここまで化けるとは思わなんだ。
寿沙都さんやバンジークス共々、前作で微妙な印象だったメインキャラ達が、
なんだかんだ終わってみれば皆魅力的だといえるようになってるのは凄いですね。

そういえば、本編中では写真で匂わせる程度だったけど、
グレグソンとバンジークス兄弟の関係性って凄く想像を掻き立てられてドラマ性ありますよね。
微妙に浮いてた気もするアイリス"お嬢様"への接し方も、
もしかして彼女がクリムトの娘だと察していたからじゃないか、とか思うと納得だし凄く滾るものがあります。深読みしすぎかもしれませんが。

ジーナ・レストレード
比較的クールで頭のいい子が多い作品だったので、
陽気でおバカなジーナさんの存在はけっこう癒しになってくれましたね。最終話ではだいぶ曇っちゃいましたが。
にしてもグレグソンとあんなドラマチックな関係性になるだなんて、1-5の時は思いもしなかったよなあ。

●御琴羽悠仁
ここまで重要なポジションだとは思わなかった御琴羽パパ。
(相対的に、ジョン・H・ワトソン博士の方が思ってたよりずっと大したことないポジションに…)
いやまさか、"ワトソン君"の正体が日本人でしたって展開ぶっこんでくるとか読めないっすわ。
しかもそこからお茶目な鼠の鳴き真似したり、スタイリッシュタップダンスで痺れつつ笑わせたり、
終盤に入ってから怒涛の勢いでインパクト残していったキャラでした。

ホームズの相棒としての活躍に加え、
10年前の真相に迫る頼みの綱の手がかりとして証言したり、
そもそも龍ノ介・寿沙都・亜双義が英国法廷に立つ状況を作ること自体に少なかず寄与していたりと、
振り返ってみると、vsヴォルテックスに置いて彼の果たした役割はめちゃくちゃ大きいですよね。
ホームズ小説とのクロスオーバー的な作品なんだから、準主役のワトソンを出すならこのくらい活躍させてしかるべきってもんでしょうか。

●コネット・ローザイク
今作のNo.1美人キャラ。口元に人差し指当てるモーションが素敵。
そして今作で一番年齢設定に違和感を覚えるキャラだとも思います。
今が26歳の風格じゃないというのもあるけれど、
既にバリバリ現役だったプロフェッサー事件の時点では16歳ですからね。
その年でプロフェッサーの死体の型どりして、
イーノックに独自交渉して、さらにはヴォルテックスとも取引をしていたり(?)と、
どんだけ肝の据わったおそろしい16歳やねん、って感じですねw

●エブリデイ・ミテルモ
DL6号事件で人生を狂わされた灰根が凄く感じ入るもののあるキャラだったので、
同じくこの人も、ギャグみたいなネーミングからは思いもつかないほど悲しいドラマ性を感じる人でした。
でも2日目の裁判で、吹っ切れてブチギレしつつ「ガクガクしてみろや」と所長を煽り始めたのは、
怒りに共感しつつ思わず笑ってしまいました。
なんだかんだコミカルで前向きな面が見えるし、
何より奥さんが見捨てずついてきてくれるしで、ちゃんと彼に救いがあって良かったなあと。

・慈獄政士郎
いままで舞台装置的なものだと思っていた裁判長が、
まさかの名前+法廷外での出番付きで出てきてビックリしましたが、その理由が犯人役だったからとはなあ。
正直最初はノーマークだったんですが、
一緒に撮った写真を証拠品として入手した時点で「もしかして…」と察してしまいました。
こういう形で展開が読めちゃうのは、シリーズに慣れたものの悲しいサガですね。

権力欲に目がくらんだ悪人でありつつ、
玄真の裁判でブチ切れたエピソードとか確かな友情を感じさせるものもあったりで、
ヴォルテックスに乗せられて引っ込みがつかなくなったったんだろうな…とかドラマ性を感じさせるものがあってなかなか良い悪役立ったと思います。

●ハート・ヴォルテックス
特別サプライズもなく、順当に黒幕だったヴォルテックス判事。
当然1での初登場時点から疑いの眼差しで見ているし、
慈獄に疑いがかかり始めてからは芋づる式にほぼ黒幕の正体も確定してくるのに、
なかなか平静を崩さないというか、
"ちゃんとルール通り進行している裁判官"の体を守り続けていることに感心してました。
実際に黒幕として自身の名前が挙がったあとも、
このルール遵守の姿勢をキープしてくれていたおかげで、
裁判長と対決するシチュエーションを成立させてくれるし、自身の風格もある程度保ってくれたなと。
一方キャラ株の点でいうと、大物的なポジションであるにも関わらず、
「自身有利の状況から失言でピンチを招く」展開をやっちゃったのは残念でした。
玄真の"三枚目の遺書"は一見すると真意がわからないうえに日本語の文書だから油断しちゃった、ってのもあるんだろうけど、
それでもやっぱり不用意な発言して隙を与えちゃうのって間抜けに見えるもんね。
あとは、「一点の曇りもなく真実を〜」って言葉が揚げ足取りに使われまくってるのもありましたね。
自身で議論の流れを左右できる超有利なポジションにいたので、
よくよく考えればピンチに至る前に上手く躱す方法がもっといろいろあったんじゃないかって気もしますが、まああんまそこツッコむのも野暮かな。

"悪役""黒幕"としての彼の魅力を語るなら、
「自身の正義・モットーに基づく行動原理」と「他人を操るだけで手を汚さない立ち回り」の2つが大きいかと。
こういう歪んだ正義感を実現するためにに罪を犯すキャラってけっこう好みだし、
彼の場合、「死神システムの構築」によって実際に犯罪件数を減らした実績を打ち立てているのが素晴らしいですよね。
その一方で、自身の保身や願望のために罪のない者も消してきた事実があることで、
「許されざる罪を犯した、明確な悪」としてもちゃんと成立するようになっている。
この辺、デスノートの月とかに近い魅力がありますね。
そしてもう一つヴォルテックス判事の凄いところは、自身の手を一切汚さずここまでたどり着いたことでしょう。
過去の逆裁シリーズにも自身の手を汚さない狡猾な黒幕というのはいましたが、
彼は一般人の小物的なキャラ造形で、
一方ヴォルテックスみたいな地位のある大物ボスに対しては、
これまでずっと「殺人犯としての逃れえぬ明確な証拠」を突きつけることで成敗するパターンがお決まりだったと思います。
だからヴォルテックスも当然、どこかで殺人の罪を犯しているものだろうと思っていましたが、
プロフェッサーとしての連続殺人、クリムトの殺害、玄真の殺害のいずれにも直接手をくだしていなかったのは予想外だったし感心しました。
おかげで最後の龍ノ介の「お前は何もしてない、戦ってなんかいない」という説教にも、
「何もしてない、だから司法を守るために許されるべき」というしぶとい言い逃れにも共に説得力が生まれますしね。
(そのせいで、トドメの刺し方がああいう形になっちゃったという面もありますが)

理念やビジョン・立ち位置などなど、過去の逆裁シリーズの某大物ボスと被る点が多いですが、
散り際の潔さでは向こうに軍配が上がる一方で、
実際に犯罪抑止に成功した実績や、直接殺人を犯さずやり切った狡猾さではヴォルテックスの方に強みがあるかな。
裁判官と戦うというシチュエーションや、ブレイクモーションのど派手で意味深な演出等も含めて、
シリーズの中でもかなり上位に位置する、良い味を出してくれた悪役だったんじゃないでしょうか。

総括

「1〜3クラスの傑作をもう一度作るには、成歩堂(35)達に頼らずキャラ・世界観をリセットすべき」
最近の逆裁シリーズを見るたびずっとその思いを膨らませていて、
だからこそ大逆転裁判が発表された時は歓喜し、そしてプレイ後は落胆したものでした。
そして今作では冒頭に書いたように、4以降の裁判作品で初めて1〜3に比肩し得るほどのプレイ体験が味わえて、
面白い作品をプレイできたことそのものに加えて、
持論が証明された・期待に応えてくれた嬉しさもふつふつと湧き上がってきました。
実質2作分のボリュームを費やしての達成ということでちょっと反則的な気もしますが(笑)
ともあれありがとうタクシュー、ありがとう大逆転スタッフ!

ただ、対外関係に揺れる明治時代の日本とイギリス、という世界観には何だかんだそれなりに魅力を感じたし、
伏線の中に漂うスケールの大きさに、「これがちゃんと回収されたら凄く面白くなるんじゃないか」的な期待感を煽られているようなところもあったりします。
だからこそ、厳しい評価の多い中だけれど、やっぱりちゃんと続編を出してほしいなと。
このまま何の続きもなく終わってしまえば、この作品には「失敗作」の烙印を押さざるを得ない。
けれど、システムもシナリオもグッとパワーアップさせて、
大逆転裁判」全体の物語に怒涛のクライマックス・感動的な大団円でエンドマークを打つことができたなら、
その序章としての今作の存在価値も高まってくるというものでしょう。
大好きなシリーズ・大好きなクリエイターの作品だからこそ、やっぱりこのまま失敗作では終わってほしくない。
だから、いろいろと残念な出来ではあったけれど、
逆転裁判巧舟のリベンジに期待して、今はまだ今作を「駄作」だの「失敗」だのと切り捨てるのは避けておくことにします。

前作、大逆転1の感想記事でこのようなことを書いていましたが、
その通り、単体で見ればイマイチな出来の「大逆転裁判1」にも、
今作のおかげで、「傑作の2を楽しむための序章」として価値が付与されたかなと思いますし、
「大逆転シリーズ」トータルとして、"成功"という評価を与えられるようになったんじゃないかと思います。
作中の逆転劇だけじゃなく、シリーズの評価そのものも大逆転したというメタ的なカタルシスもありましたね。

一方、プレイヤー個人としてはそういう満足した結果に終わっても、
残酷な現実問題として、大逆転2の実際のソフト売上はだいぶ数字を落としているらしいということもあって。
DQ11みたいなプレイ時間のかかる大作と被ちゃったせいとかもあるかもしれないけど、
やっぱり、大逆転1の不評が影響してるのでは……と思わずにはいられないですよね。
私はシリーズを追っかけ続けてるファンだから、1の出来にもめげず2を購入したわけだけれど、
あの1をプレイさせられて、こりゃダメだわと続編スルーして切り捨てちゃう人の気持ちも分からんでもない。
最高に面白い"2"を作るために"1"を伏線貼りに終始させた挑戦ぶりは評価したくもあるけれど、
やっぱりあの1の作り方はもうちょっとやりようがあったというか、ああいうものはもう出すべきじゃないと思います。

さておき、今回の結果を受けて一番怖いのは、
「やっぱりキャラ変えると売れねーわ。
今後は成歩堂(龍一)や御剣や真宵ちゃんの出てくるナンバリングシリーズに一本化しなきゃな」
って判断されちゃうことですね。
5,6と安定して"良作レベル"を続けている今のナンバリングシリーズもそれはそれで続けてもらって構わないんだけど、
それとは別に、コケる可能性あれど"傑作"に化ける可能性もある、新規シリーズへの挑戦も続けていってほしいところ。
「最高傑作! 一番泣いた!」みたいな胡散臭いバナー広告を見かける辺り、
制作サイドも「大逆転裁判2」の出来や評判には確かな手応えを感じているんじゃないかなと思いますし。
そういうところは自信に変えつつ、大逆転1の反省点も活かして、
また成歩堂龍一でも成歩堂龍ノ介でもない、新しい主人公・世界観の作品に挑んでくれることを願っています。

*1:もうちょい厳密に分けると、「5」と「大逆転1」はそれぞれもう0.5ランクくらい落ちる感じかな

*2:夏目漱石以外のキャラクター(ホームズ関連)は厳密には架空の人物ですが、知名度や「逆裁オリジナルじゃない」という点である種史実の人物感があるかなと