竜宮小町のストーリー系PVと、リーダー伊織が背負うもの

今年のニコマスPV界隈の大きな特徴の一つとして、「プロジェクト・フェアリー」の大人気っぷりというのが挙げられると思います。
フェアリーを扱った名作、今年だけでいくつ生まれたことやら。
公式ユニットの強さというのをひしひしと感じた一年でした。

一方、もう一つの公式ユニットであり、現在進行形で推されている「竜宮小町」については、正直フェアリーほどの勢いは感じられませんでした。
おそらく、ユニットとしての完成度に差があるからではないかと僕は思っています。
フェアリーは美希がライバルの立ち位置となり、その美希と並び立てる存在として響・貴音が設計されました。
実際に戦うときはソロでしたが、ユニットとしても非常にバランスよく考慮されているはず。
しかし竜宮小町は既存のキャラクターを組み合わせたユニット。
それにVi系が2人被ってるし、あずささんだけ身長も年齢もやや浮き気味。
アニマスで律子が「バランスを考えた結果」と言っていましたが、悪いけど僕には大人の事情で組み合わせられたユニットにしか思えません。

そんなこんなで、「竜宮でフェアリーほどのステージは作れないだろ」というややひねた考えを僕は持っています。
ところが、僕が大好きな「ストーリー系PV」の分野においてだと、今年一番存在感があったのは竜宮小町でした。
現状、「アイマス2の物語」を綴ったストーリー系PVはあまり多くありません。
それ故に、真正面からそれを描いてみせる散髪屋Pの存在は貴重だなぁと思っていたり。

そんな状況の中なのに、竜宮小町の物語を題材としたものは数・質共に印象深かった。

プレイヤー側のユニットに敗れた数週後、彼女たちは天ケ瀬冬馬に惨敗する。
その後立ち直り、再びアイドル活動に励む姿は描かれるものの、プレイ中に再び彼女たちがプレイヤーの高みまで登ってくることはありません。
楽曲の売り上げが最大のステータスであるアイマス2の世界において、竜宮小町唯一のヒット曲である「SMOKY THRILL」は70〜80位止まり。
デビューして一年で頂点に上り詰める自分のユニットと比べるとどうも……

僕は雪歩・春香の2人のシナリオしかまだクリアできていませんが、基本的な流れはおそらくどのシナリオも一緒のはずです。
(間違ってたらごめんなさい!)

上は、ゲーム内における竜宮小町の物語。
わざわざ書き直すのも面倒だったので、過去のエントリからコピペしてきました。
ちなみに、後にPS3版で多少のフォローが入った件に関しては考慮しません。
最初に送り出した物語がああいう風だった、ってことが重要だと思うので。

そしてこの物語を糧として、沢山の名作が生まれました。
最も心に残っているのが、ドドリアPのDIAMONDとVRFの赤ペンP枠。(ここでは代表として暴れ出すを貼っておきます)


どちらも、公式ストーリーにおいて示唆された「竜宮小町の次の一年」における彼女たちの活躍を描いたものです。

この他にもいろいろあったなぁ。いくつか例をあげると、
律子派のトカチPは早々からこの手の物語に着手していましたし、

VRFでデビューしたしぇるPはいきなりこういうものを持ってきましたし、

全ユニットが激突する形式のこの動画でも、彼女たちの物語が描かれていました。

これらの物語を見ていて感じるのは、竜宮小町の物語って基本的に「下から這い上がってくる物語」だよなぁということ。
公式のストーリーで沈んだままだから、まあ必然的にそうなりますよね。
同じパターンではあっても、どれも熱くて、強く胸に込みあげてくるものがあって、食傷気味だなんて風には全く感じません。

唐突だけど、こういう流れを見ていると無印の春香trueエンドを思い出しました。
あれも否定的な意見があったけど、それ故にあれを題材とした名作がたくさん生まれ、春香というキャラクターの枠そのものを広げるに至りました。
「竜宮のストーリーPVは、彼女たちを救済したいというPたちの願いによって生まれたんだ!」……なんて美談にしたいわけではありません。
ただ、「どんなものであっても、公式が提示したものを受け止め、自分の作品に反映しちゃうのがニコマスって場所なんだ」
といったことをしみじみと感じていたのです。
無印春香ENDにせよ、竜宮小町の物語にせよ。

また、様々な竜宮の物語を見ていて気にかかるのが、その物語における伊織の存在感。
伊織があの手の物語でメインを張り、輝いていることが多い理由って、
単に竜宮のリーダーってだけじゃなく、泥臭く這い上がってくる物語が伊織の性格とマッチする部分が大きいと思うんですよね。

元々ビジュアルや声の面では、伊織は可愛く綺麗って感じのキャラクター。
そのうえにドドリアDIAMONDの気高さ、赤ペン暴れ出すの情熱。
さらにはここで見せる天使のような神々しさや、今にも消え入りそうな儚さ、

ここで見せる気品や圧倒的な存在感。

そういったものを全て内包してしまえるのが、今の伊織。
情熱のうたの感想でも少し書きましたが、とんでもないアイドルになっちゃったなぁと感じずにはいられません。


この動画の「愛して 苦しくて 泣きたくて」という歌詞が、一瞬伊織からのメッセージに聴こえてハッとしました。
この子って、まだ15歳の女の子なんだよなぁって。
それなのに、リーダーとしてのポジションだけだなく、
敗北の無念とか、主人公ユニットに先を越された劣等感とか、そこからはい上げるまでに至る物語、それに伴う仲間たちの思いなんてものまで背負っちゃってるんですよね。
しかもそういう物語が、最早この頃当たり前のように紡がれている。
それでも気高くあり続ける伊織の姿を見ていると、彼女が15歳だなんていう当たり前の事実を忘れそうになるのです。


何かもういろいろと訳の分からんことを書き連ねちゃいましたが、とにかく最近伊織が凄すぎるって話をしておきたかったのです。
公式の竜宮小町の物語には納得できてないし、僕は嫌な奴だから今後も根に持ち続けると思う。
でも、アレがいまの化け物じみた伊織を生み出すきっかけになったんだってことも間違いないんですよね。

にしてもホント、昔以上に遠く、そして大きい存在になっちゃったなぁ……
雪歩とどっちが好きだとかそういう話じゃなくて、何というか……愛情を注ぐなら雪歩だけど、憧れて胸を焦がすなら伊織って感じだろうか?
ああだめだ、意味の分からないことを書き始めちゃった。
もうこの記事終わっときますごめんなさい。