特別なドラマ性がのっかるアイマス×ポケモンの二世代物語



私も参加した第八次ウソm@s祭りで、一番の話題をさらっていたそーろーPの手描きポケマス紙芝居。
企画参加作品をマイリス数順に並び替えたとき、これとむらたんPのサクセス動画との間に自分の動画があったのは場違い感ありすぎてビビりました。
……という開幕自慢話はさておき、
前編の時点で手描き動画の圧倒的見栄えの良さに、ポケモンのゲームシステムをうまい具合に物語に落とし込むセンスが光る。
そして何より、アニメポケモン一話を踏襲した正統派なストーリーに、
イチ・ポケモン直撃世代として大変グッときていたものですが、
後編で打ってきた大仕掛けがさらに私の好みのツボをどストレートで貫いたので、ちょっと感想をば。
(※以下動画のネタバレ含みます。)
前編のときに気になっていたのが、OPで挟まるこのカット。

主人公・春香以外の12人の765ASアイドルが、歴代ポケモン作品のジムリーダーや四天王キャラの衣装を着ているという構図。
765ASアイドルの13人という数は、ちょうどポケモンのジムリーダー+四天王(+チャンピオン)の数にいい感じにハマるんですよね
過去にも「ポケm@sブロンズ」 「愛の大冒険」等それを活かしていた作品があったし、
私自身、それを活かしていろいろアイマス×ポケモン物語を妄想していたりなんてこともあったので、
だからこの動画も、春香さんがジムリーダーや四天王役の他12人を倒して、チャンピオンに輝くというストーリーを想定しているのかなあと。

ただ、やよいと伊織は春香と同時期に旅立った新人トレーナーポジションとしても描写されていたので、
この2人だけはただコスプレしてるだけなのかとか、
もしくは先回りで四天王とかに就任して、春香に立ち塞がる役割なのかとか微妙に引っかかっていたんですが。
さておき後日投稿予定の後編は、旅立ちに続いての一大王道イベントである最初のジム戦を、
一番手ポジションっぽい雪歩辺りを相手に描き、「春香の冒険はまだまだこれから!」的な締めになるのかなあ…なんて風に想像していました。


そしたら後編始まってすぐ、予想通り雪歩は登場したんだけれど、
初心者トレーナーっぽいポジションに服装も原作無印私服で、「あれっ…?」と思いながら見続けていたら……



なんとまあ、こういう展開でしたとさ(笑)

前編のアニポケ風な雰囲気とは変わって、ポケスペ風のちょっとダークなテイストが入ってきたかと思いきや、
それも飛び越してバッドエンド的な展開に突入し、
まさかの「実はエピソードゼロでした! これから真の主役・次世代ミリオンアイドルの物語が始まるんやで!」というオチ。
中盤辺りの胸糞展開は正直あんまり好みじゃないなーと思いながら眺めてたんですが、終盤の畳み掛けが素晴らしすぎて吹っ飛びました。
前編の我らが春香さんによる王道ポケモン物語も安定して楽しかったんだけど、
その物語が、未来たち次世代アイドルに継承されていきますよというこの展開にワクワクが止まらなかったのですよ。

とりあえずまあ、アイマスとかポケモンとか抜きにしても、
こういう二世代に渡る物語ってクッソ熱くて大好物です! というのがあるんだけど、
加えて、まず今の自分がニコマスに一番求めているものが、
ズバリ765ASとミリオンアイドルのドラマが交わり、継承されていくという物語展開まさにそのものだったというのが大きかった。
これはいつか改めてもうちょいしっかり書くかもしれませんが、
春香や千早たちのドラマを追ってずっとアイマスニコマスを見てきた自分にとって、
2関連の掘り下げが一段落し、OFAやおそらく新作のPSもあまりドラマ的な広がりを産まなさそうな今、
最も新しいドラマの可能性を期待させてくれるのが、ミリオンの後輩たちと絡めた物語なんですよね。
だからニコマスにもっとそういう動画が増えて欲しいなーと願っていたわけで、
まさにそこをピンポイントで突いてきてくれたというのがもう、めちゃくちゃ嬉しかったわけです。

んでもう一つが、二世代の物語をポケモンと重ね合わせることの持つ意味合いの大きさ
有名な話なのでわざわざ解説するまでもないことだろうけど……。
ゲーム史に残る一大ブームを巻き起こし、私にとっても生まれて初めてプレイするゲームソフトとなった初代ポケモン赤・緑
それから発売延期を繰り返し、焦らされて焦らされて、3年半後にようやく発売されたのが続編のポケモン2こと「ポケモン金・銀」。
そこには赤緑の物語から3年後という時代設定で、新しい舞台ジョウト地方での冒険が繰り広げられ、
そして物語の終盤・ジョウト地方のマップ最東端に到達した際、

小太りの通行人が放つ衝撃の一言。「きみは いま! カントーちほう への だいいっぽを ふみだした!」
マップを広げると、そこには「カントー」の文字と、前作赤緑の舞台・カントー地方の懐かしいマップ配置が!
実は前作の舞台と今作の舞台は陸続きで繋がっていた、という粋なサプライズ演出。
さらに表のストーリークリア後は、なんと丸ごと収録された*13年後のカントー地方を冒険することができ、
ラストダンジョンで待ち構える所謂裏ボスは、前作赤緑の主人公という胸熱展開……。
子供時代にリアルタイムで味わった者の中では、最早語り草となっている衝撃的なゲームプレイ体験であり、
もうちょい上の世代に合わせて例えるなら、いわばドラクエⅢのアレフガルド到着に相当するような出来事だったわけです。
我々の世代にとって、カントー地方アレフガルドであり、
GBのポケモン赤緑→金銀の二部作は、FCのドラクエロト三部作なわけですよ。
だからこそ、ポケモンで二つの世代にまたがる物語というのは特別なドラマ性を帯びることになるし、
本作で、二世代目主人公にあたる未来ちゃんがHGSS(金銀のリメイク)の女主人公コスチュームを着ているのは、
赤緑→金銀を体感した者なら、誰もが口に出さずとも当然だと納得するチョイスなわけです。

そんなわけで、ただでさえ熱い二世代物語に、
アイマスポケモンならではの特別なドラマ性がのっかって、より激アツなシチュエーションに見えるのでした。
765ASの数がちょうどジムリーダー+四天王チャンピオンにハマると前述したけれど、
彼女たちをその位置におくならば、「じゃあ主人公側はどうすんの? …次世代アイドルの出番でしょ!」という話になるわけで。
冒険して、成長して、そして大きな地位についたという春香たちの物語が前提にあって、
その背中を追う後輩たちの物語というのは、もう約束された大勝利設定でしょう。
…というか、さっき話題に出したかくばるPの「愛の大冒険」が、

赤緑時空での冒険を経てジムリーダーになった765アイドルたちが根底にあり、
当時の「次世代アイドル枠」たる876プロアイドル達が主役の金銀時空物語が展開されるという、
ここまで語ってきて熱い構図を、既にドンピシャで採用していた先駆者だったんですよね。
私が自分でアイマス×ポケモンの物語妄想するときは、かなりこの動画に影響をうけていた節があったように思います。

ただ、かくばるPの動画や、それに影響を受けた私が妄想していた展開なんかでは、
まっすぐに王道に成長した春香さんの背中を、後継の存在たる次世代のアイドルたちが追いかけるというような構図でしたが、

今回のそーろーPの動画は、闇堕ちバッドエンド的な結末を辿った春香に大して、
その救済を予感させる、対の存在として次世代主人公・未来の物語が始まるという構図になっているのが大きな違いでしょうか。
どっちかといえば私個人の好みに近いのは前者の展開なんですけど、
ただ、今回の動画に関しては、
一発限りのウソm@sの舞台、前後編に分けた春香と未来2人の物語が、こういう形で対比されるからこそインパクトがあるわけで。
何よりこの展開の素晴らしさは、対立軸を持ち込み深みのある構図を作ったことで、
原作通りの普通の冒険物語よりも、何倍にも壮大かつ複雑なドラマの予感を覚えさせられることでしょう。
このハイクオリティな作りで、このビッグスケールな物語が完結まで見ることができたならそれは最高に幸せなことですけど、
まあ、現実的に考えてそれはいろいろと難しいだろうなあ…と思うわけで。
そしたら、一発勝負だけでこの物語が如何に傑作足り得るかというのは、
こういう一話・そして予告編の中で、「どれだけこの先に続く物語への想像を掻き立て、期待を膨らませられるか」という点にあると思うんですよね。
その点が、この動画の構成は実に上手いことやっていたなーと。
悲劇的な背景設定を持つ世界の中で、まっすぐな未来ちゃんとその仲間たちがどんな冒険を繰り広げるのかというの自体もワクワクさせられるけど、
さらに、春香たちの物語が素直に円満解決を迎えず、ああいう形になったことで、
765ASアイドルたちの物語だってまだ終わっていない、続きがあるんだというのがこの物語を何倍にも面白そうに見せてくれるんですよね。

それを感じさせるこの伊織とやよいのカットが、個人的にはこの動画のベストシーンだったりします。
共に旅立った仲間・ライバルだからこそ、春香の現状に特別な感情を抱いていそうな伊織とやよい。
同じく春香との出会いが描かれていた雪歩や千早も、今の春香に対してそれぞれ思うところがあるのか。
そして、このご時世に見られたことだけである種喜びすらある"黒春香"はどんな活躍を見せてくれて、どんな結末を辿るのか。
ミリオンアイドルたちの物語と並行して、彼女たちにも豊潤なドラマの予感が宿ることでワクワクが何倍にも大きくなって、
そして、「やよいおりは未来たちと共闘して春香を止める側に回るのかな?」とか、2つのドラマの交わる展開を想像するとどんどん楽しくなっていく。
これだけ自らどんどん楽しみを増幅させられちゃってる時点で、
予告編としては大変切れ味鋭ストーリー展開だったなあともう絶賛するっきゃないですね、はい。

ほとんど物語方面の話に終始しちゃったけど、
アイドルたちがいろんなポケモンキャラクターのコスチュームを纏っているのも、組み合わせが楽しかったりポケモンへの愛を感じさせてくれたりして素敵でした。ロケット団風コスのロコモモコがツボ。
あと10年早く生まれて、ジャンプ黄金期だのスクウェア全盛期だのの直撃世代になりたかったというコンプレックスを抱えている私ですが、
なんだかポケモン直撃世代に生まれてこられたことを嬉しく、誇らしく思えるような視聴体験でした。

*1:容量節約の関係かちょこちょこ簡略化されてはいましたが