成歩堂(34)の主役復帰に複雑な思いを抱く

成歩堂龍一が主人公として復活する「逆転裁判5」は3DSで発売。東京ゲームショウ2012で早くもプレイアブル出展(4gamer.net)
逆転シリーズ待望の続編、「逆転裁判5」の詳細がついに発表されたものの、
主人公が成歩堂(34)と聞いて素直に喜べない複雑な心境をなんとなく綴ってみることにしました。

有名シリーズなのでまあ大抵の人は知ってると思いますが、一応軽く解説を。
逆転裁判シリーズは1〜3で弁護士・成歩堂龍一を主人公とした物語を綺麗にまとめた後、
その七年後という設定で、主人公を王泥喜法介にチェンジした「逆転裁判4」を発売。
しかしこの4がファンから酷評を受け、世代交代に盛大に失敗してしまいました。
作品単体としての出来そのものも1〜3と比べると劣っていると言わざるを得ないのですが、
それよりも「旧作主人公・成歩堂が3の2ヶ月後に法曹界を追放されたという」設定が、シリーズの未来にも大きく支障をきたしてしまったのです
この設定がある以上、再び7年前に戻って成歩堂の話を始めることができない。
かといって旧来のファンから反感の強い王泥喜シリーズを続けるのは難しい……みたいな感じで。
たぶんそのせいでなかなか正規続編を出すことができず、
成歩堂シリーズの大人気キャラ・御剣検事を主人公にした外伝の検事シリーズで寿命を延ばしてたんじゃないかなーと。
(4が普通に成功してたら、1〜3みたいに連続して王泥喜の話を続けていたはず。伏線も残してたし)
その検事シリーズにしたって、3ED後から成歩堂が弁護士をやめるまでの2か月の期間に「検事1・2」を詰め込んで窮屈な感じになってましたし。

んで、僕はまあ検事の方もそれなりに楽しみつつ、もし「逆転裁判5」を出すならどーすんのかなーと予想してみました。
思いついた選択肢は以下の通り。
①従来通り王泥喜を主人公にする
成歩堂(34)を再び弁護士に戻し、主人公にする。
③4の設定はパラレルだということにして、成歩堂(27)を主人公にする。
 もしくは1〜3の間にあったエピソードという体で出す。
④大人気の御剣を弁護士にして主人公にする。(御剣は小さいころ弁護士志望だった)
 これは検事2のシナリオがそういう流れだったのでもしや……と思いついたんですが、
 ラストで否定されたので安心しました。御剣はあくまでスピンオフの主人公までに止めておくべきだと思うので。
⑤主要キャラは裁判長以外総とっかえ。
 旧作キャラは完全に出さないか、もしくはサブキャラにちょこっと出す感じ。
 成歩堂王泥喜サイドとは深く関わらないまま話を進める

結局5年たって、制作陣が出した結論は②の成歩堂(34)を再び弁護士に戻し、主人公にする」だったわけです。
でも僕の理想としては⑤、せめて①であってくれって感じでした。
王泥喜はまあ4では空気気味でしたが、
4の問題は協力的すぎるライバル検事と出しゃばりすぎる成歩堂にあったと思うので、
彼をメインにして面白い話を書くことだった十分不可能ではないはず。
「4」の流れを引きづるのなら、
王泥喜主人公で1〜3のような熱い逆転劇を再び描き、改めて世代交代をちゃんと成功させてほしかった。

しかし公式は、再び成歩堂に頼る道を選んだ。それも4の続きとして。
4の成歩堂のキャラ自体はアレはアレでありだと自分では思っているんですが、
果たして「主人公」にはふさわしいのだろうかと引っかからずにはいられないんですよね。
クールな御剣が主人公の検事をやっていて再確認したんですが、
やっぱり正統派な逆転シリーズの主人公とは、
熱くて、真っ直ぐで、そしてプレイヤーが好感を持てて感情移入できるような愛嬌と隙・未熟さが無くちゃいけないと思うのです。
1〜3の成歩堂はまさにそうだったし、王泥喜もそういう方向に持っていくことは十分可能なはず。
でもあれだけ成熟してしまった今の成歩堂だとそうはいかないよなぁ、と。
まあ何食わぬ顔で昔みたいなキャラに戻してくる可能性も無きにしも非ずですが、それはそれでブレすぎてどうなのって感じが……。

成歩堂主人公でもう一つ不安なのは、
世代交代を選ばなかったことで、これからもずっと公式が成歩堂シリーズのキャラに縋っていきそうな気がすること。
成歩堂だけならまだしも、旧作キャラが見てみたいみたいな声に応えて、
御剣(34)・真宵(27)・糸鋸(40)などなど、
3終了後から8つも歳とったキャラたちがぞろぞろでてきたら、
1〜3を愛している身としては正直複雑というか、彼らの未来は想像の範囲に止めておきたいというか、思い出が台無しになりそうというか……。
春美(17)はちょっとだけ見てみたい気もするけどねw

そんなこんなで、この選択が無難であり需要もあったことは理解しつつも、
やっぱり成歩堂(34)を主役に戻すのはどうなんだろうなーとモヤモヤしているわけです。

それと、成歩堂主役復帰以外にもう一つ、
1〜4のシナリオ・ディレクターを担当した逆裁生みの親・巧舟が新作にノータッチなのが残念だなぁと。
「検事2」のシナリオ完成度が高かったので山崎剛氏がシナリオを書くのも決して悪くはないんですが、
でもできればもう一度、タクシューの描く逆転裁判が見てみたかった。*1
4では一度失敗しちゃいましたけど、
あんなふうにシナリオが歪になっちゃった大元の原因は、
成歩堂を出す」「裁判員制度を絡める」という二つの縛りにあると思ってるんですよね。
だから「もう一度自由に逆裁ワールドを描く機会をあげてほしい。
    そしたらきっと、またすばらしい逆転裁判を見せてくれるはずなんだ」って思わずにはいられなくて……。
4の後に作ったゴーストトリックもめっちゃ面白かったですし。

何か長々と愚痴っちゃいましたね。
僕の20年の人生の中だと3本の指に入るタイトルなので熱くなっちゃうのも仕方ないということで許してください。
まあ何はともあれ、どうせ買うのは確実だし、そのときにこのブログがまだ続いていれば間違いなく感想書くと思うので、
そのときに素直に絶賛できるような素晴らしいものに仕上がっていることを願っておきます。

*1:「レイトンvs逆転裁判」には携わっているみたいですが、あくまで「本家逆転シリーズに」というのが重要なので