「アイドルマスター2 The world is all one!!」がマジ良質なアイマス2スピンオフなのでみんな読もう

アイドルマスター2 The world is all one!! 1 (電撃コミックス) アイドルマスター2 The world is all one!! 2 (電撃コミックス)
先日購入したThe world is all one!!(以下ざわわん)の2巻が非常に素晴らしかったので、軽く紹介してみようかなーと。

ざわわんは電撃G'sマガジンで連載しているアイマス2のスピンオフ漫画でして、
春香・響・雪歩の3人ユニットを、スパイとして送り込まれた961プロの社員がプロデュースするというちょっとトリッキーな設定のお話。
とはいえ彼は基本的に春香たちの味方でして、黒井社長からの妨害指令をなんとか誤魔化しつつ3人をトップアイドルに導いていきます。
……なんだかこのくだりだけ聞くとかなり異質な作品のように思えますが、
実際は凄く真っ当にアイドルの頑張りや成長を描いている、むしろ正統派アイマス漫画と言っていい作品です。

ざわわんについて何より素晴らしいと思うのが、アイマス2」のスピンオフ漫画としての出来が非常にいいこと。
アイマス2という作品の一番の特徴は「トリオユニットプロデュース」にあると自分は考えているのですが、
この作品はまさにその点においての描写が良い。実に良い。
ただ一人一人のアイドルを可愛く描くだけじゃなく、ユニットとしてのSprouT*1の姿をきちんと描き、
その中での役割や仲間との関わり方などで各々の個性もばっちり引き出しているんですよね。
春香は明るく前向き・自然とみんなの中心に立って引っ張っていけるリーダー。
響は賑やかな盛り上げ役で、ムードメーカーとしてもトラブルメーカーとしても機能する。技量の高さを活かしてレッスンでは指導役を兼ねたりも。
雪歩は引っ込み思案でちょっと引いた位置にいるけど、その分仲間のことをよく観察し把握している。また、ちょくちょく衝突する春香と響の緩衝剤となることも。
といった感じで、ユニット内でそれぞれ果たす役割が、個人とユニット全体両方の魅力を深めていきます。
特に、2巻のとある出来事に対する春香・響・雪歩それぞれの対応が、見事に3人の個性や役割を引き出していて上手いなぁと。
そして3人の個人個人の成長が、同時に「SprouT」の成長にも繋がり、個人としてもユニットとしても着実に前に進んでいく。
これぞまさに、アイマス2が打ち出した「ユニットプロデュース」を絶妙に表現した作品なのではないでしょうか。
そういう意味でも、「“アイマス2”のスピンオフ」としては満点をあげてもいい出来だと思います。

ただ、そのように上手く正統派アイドルユニット物語として成功しているだけに、
「プロデューサーが961プロのスパイ」という異色設定がこの先足を引っ張らないだろうか、という心配があったのもまた事実でして。
実に気を引くフックではありますし、少なくとも1巻の時点ではこの設定が展開上の良いアクセントになっていたのですが、
この先物語が進むにつれて、この爆弾のせいで台無しになっちゃったりしないかなあ、と……。
しかしその点についても、2巻は読むと決して邪魔ではなかったと分かったというか、
むしろこの設定がざわわんを「俺史上最高傑作アイマス漫画」にまで押し上げてくれました。
(この設定があったからこそ生まれたとある名シーンで思わずウルッと来ちゃって……。)
いやまあ自分が他に読んだアイマス漫画はリレ、ブレイク、ぷちますくらいなんですけどねw

あとはまあそうですね……単純に絵がめっちゃかわいいです。もうそれだけで買う価値ありますよw
作者の裕佑さんはアニマスのED絵コンテなんかも担当されていた方なので、その実力は確かと言っていいかと。
ホントはここで自分が最も心揺さぶられた2巻のとあるシーンを貼りたいところですが、ものっ凄いネタバレなので流石にできない……。
まあ上に貼った3人が超かわいい表紙だけでも十分伝わるよね、うん。

ともかくそんなわけで、非常によく出来た漫画だと思うので、まだ読んでいないアイマスファン・特に春香・響・雪歩好きにはぜひ手に取ってもらいたいです。
春香はともかく、雪歩と響がここまで活躍するコミカライズなんてもう後にも先にも無いかもしれないしw
pixivのアカウント持ってる人はここで2話まで読めるみたいなので、ひとまず試しにチェックしてみるべし!
以上、全くステルスしてない宣伝でしたっ!



(以下2巻に関するネタバレ感想。既読者のみ反転して読んでください)
もう2巻の何が素晴らしいかって、12話の雪歩がPに手を差し伸べるシーンですよね!
あれほど雪歩派の心を揺さぶったシーンは今までもそうそう無かった。アイマス史上屈指の雪歩名シーンでしょう。
「Pの正体がバレる」というのはこの作品における最大のターニングポイントと言ってもいい場面だと思うのですが、
そこから一歩踏み出す役を雪歩に振ってくれたというのが、もう雪歩派としては嬉しくて嬉しくて……。
単純に雪歩の活躍が見れたというのもそうなんだけど、裕佑さんが「僕の理想の雪歩」を描いてくれたのが何より最高だった。
上述したようにざわわんはユニット内における3人それぞれの役割によって個性を表現していまして、
Pの正体という爆弾が破裂しユニットがバラバラになりかけたとき、あそこで動けるのが雪歩だというのが実に納得のいく展開になっている。
他人や周囲のことをよく見ていて、ここぞというときに気持ちを出せる芯の強さもある。
そんな雪歩の一面をこれまで、特に雪歩視点で3人の日常を描く8.5話で積み上げてきたからこそ、あのシーンのカタルシスがあったわけですね。

そして僕は、ずっと雪歩はそういう子だと信じてきて、トリオユニットを考える時はいつも雪歩にそういう役割を期待していた。
765プロって明るくまっすぐみんなを引っ張っていける子はたくさんいますけど、
雪歩みたいな他の2人の緩衝剤になったり、さりげなく仲間を支えたり、ここぞという場面で秘めたる力を発揮できる子というとなかなかいないと思うんですよね。強いて言えばあずささんが近いかな?
だからこそ前に書いた好きなトリオユニットの記事でも雪歩の登場率が高かったわけです。(まあそれだけが理由ではないんだけど)
でも実際のところ、アイマス2ではゲームシステムの関係とかでそこまで踏み込んだユニット描写は出来ていなかったし、
アニマスなんかだと、逆に雪歩(+やよい)は周りのアイドルから支えられる弱者のようなポジションとして描かれてしまった。(キャラが多いから仕方ない部分もあるとは思うんだけど)
僕が思い描いていた雪歩像は、あくまで「ぼくのかんがえたさいきょうのゆきほ」でしか無かったのだろうかなんて悩むこともしばしば……。
しかしそこに今回のあの展開、あのシーンがきたわけですよ!
もう感激の雨嵐。よくぞこの雪歩を描いてくれた、と。やっぱり雪歩ってこういう子だよね、と。
あまりに嬉しすぎて、昨日からあのシーンの辺りを何度も何度も噛みしめるように読み返してます。
誇張でもなんでもなく、「戻ってきてください」と手を差し伸べるあの雪歩の姿を僕は一生忘れないでしょう。

なんか雪歩の話ばっかりしてますが、春香も響もすっごく魅力的でしたよ!
響は頑張り屋なところとか、意地っ張りなところとかしっかり可愛く表現してもらってますし、
春香はけっこう怒りっぽく描かれてるところが等身大の女の子っぽくて個人的にグッドです。
そして何よりSprouTというユニットそのものが実にいいですわ。心から応援したくなる。
他の子たちも出番は少ないけれど、単純に絵が可愛いからそれだけでもう魅力的w
特に2巻おまけエピソードの千早・貴音はよかったです。
アニマスといい、最近はたかちはの波が来ているのでは……w

他にも黒井社長のえげつなさとか実に絶妙だったりで、凄く楽しくて感動的な巻でした。
Pの正体バレっていう最大の嵐が通過しちゃった時点でもしかしらもう終わりが近いのかもしれないけど、次巻以降も実に楽しみです。
アニマス以外でここまで続きを楽しみに待てるアイマス作品が出てきたってのはホント喜ばしいことですね。

*1:春香・響・雪歩のユニット名。公募で決めたらしい